【2006】ぬむるす英国徘徊記 3日目 (2)

f:id:momodisson:20210303034905j:plain

本日の会場 Scala

 Scalaのエントランス付近にたどり着くと、すでにやよいさんたちが待っていた。この辺はパブかファストフードのお店しかないらしいので、SUBWAYに入ることにした。「一番サイズの小さいパンはどれでしょう?」とやよいさんに聞いてもらい、ハーフサイズのパンにしてもらったのだけど、それでも全部食べきれなかった。残りは紙とビニールに包んで、明日の朝ご飯にしよう。お店の中では、Dさんに日本の「ヴィジュアル系」を説明するのに頭を悩ませていた(^_^;)。ゴスロリは知っているらしいんだが(笑)。ヴィジュ系の音楽的ベースはBoowyですよね?Buck-TickとかXも当然絡むと思うのですが・・・そもそも最初はどこなんだろう?と考えるとノヴェラまで行ってしまいそうな気がする。

ja.wikipedia.org

 そうこうしているうちに開場時間が近づいてきた。きょ、今日は緊張しないといいいいい、いいな。

 Scalaへ戻ると、すでに会場横の歩道にはファンの列ができていた。今日の出演バンド、Frost*は既に解散が決まっているから、彼らの貴重なライブを観に来た人も大勢いるのだろう。私は列の後ろにつき、雨の中で黙って開場を待つ。周りには背の高いオジサンが多いので、ちゃんとステージが見られるか心配。

 開場してからも、列は遅々として進まない。まず招待客から入場させていたからそのせいかと思ったのだけど、自分の番になって理由が分かった。きちんとボディチェックをしていたのだ。女性にも女性の従業員が付き、かばんの中もしっかりチェックされた。やっと、さぁ乗り込むわよ!と階段を上っていくと・・・トイレに来てしまった?あれ??どこが入り口ですか(汗)???急いでるのに、ものすごく不親切な配置に惑わされてしまう(泣)。なんとかライブスペースへたどり着くと、私より早く入場していたやよいさんが最前列を確保していてくれていた。ありがたい!!しかしそこはHasse様の真ん前。ブーツで蹴られそうな至近距離。ど、どうするワタクシ!? 

 

f:id:momodisson:20210303034850j:plain

本日のチケット

12月9日 Scala (London)

第一部:Frost*

 実は行きの飛行機の中で、彼らのアルバム「Milliontown」を初めて通して聴いたのだ(汗)。隣の部屋でしぶがかけまくっていたので、何となく曲は憶えていたかな。その時は「うわ、だめだこのキーボード!!」と拒絶反応が出たので、むしろFrost*のライブの時だけ、しぶと交代ができればいいのにとか、ちょっと失礼というか、申し訳ない気分になった。でも腰を据えて聴いてみたら何でもなかった。意外とJohn Mitchellがギターで頑張っていたし、インスト曲のシンセがカナダのVisible Windに似てる?と思ったら、すんなり頭に入るようになった。バカの壁、もう一つクリアー目前。ライブで聴くとどんなモンだろう?

f:id:momodisson:20210303034930j:plain

大人気「Milliontown」

 ステージ真ん中にキーボードが置かれ、クリスマス用の電飾でキラキラと飾り付けられている。ステージに向かって右側には真っ白なクリスマスツリー。バンドは完全にクリスマスモードで、ベースのJohn Jowittはサンタの帽子をかぶって出てきた(笑)。このバンドの中心人物Jem Godfreyは髪をブリーチしていて、顔は全然似ていないのだけどロックニンニン久武頼正を思いだしてしまった。

f:id:momodisson:20210303034925j:plain

John Jowitt

 Jemが少しMCをしてから"ジングル・ベル"のサンプリングを流し、そのままアルバム冒頭のインスト"Hyperventilate"へ繋がる展開。割とアルバムに忠実な、タイトな演奏だったと思う。

 曲が終わってJemがMCをすると、周りの客のノリがすごくいい。どうやら私はFrost*目当てのIQファン(ベースのJohnとドラムのAndy EdwardsはIQのメンバー)に囲まれているらしい。そして、Jemがノリノリ過ぎて怖い(^_^;)。次はギターのクリアなアルペジオが印象的な"Black Light Machine"。Jemの声はパンチのないNeal Morseといった感じで、とてもソフトな歌声。私の位置からは殆ど見えないドラムは、音だけ聞いているとパワフルで、結構メタルな感じも受けた。そのAndyと、5弦ベースを操るJohn Jは元々同じバンドにいるので、安定したコンビネーションで曲を支えている。その上に乗るJohn Mitchellのギターソロが非常にのびのびした音色で気持ち良かった。

f:id:momodisson:20210303034914j:plain

Jem GodfreyとJohn Mitchell

 Jemの「コレが最後の曲」というMCでブーイングの嵐。このライブを観ている時点で、私は「バンドは解散するけど、解散決定前にブッキングされたライブ(Baja Progとか)は出演する」と理解していたのだけど、あとで聞いた話では本当に「最期」という意味だったらしい。

 "Milliontown"のイントロではふざけて"ジングル・ベル"を弾いたり、Jemのおふざけは曲中でも続いていて、メンバー同士で妙にじゃれ合うシーンもよく見られた。少々やけっぱちな印象も受ける(^^;)。ファンや何度かライブを観た人には面白いかもしれないが、私はちょっと気分をそがれたな。それでもドラムの手数の多いスピード感のあるプレイと、John Mの意外とテクニカルな演奏に耳を奪われた。Arenaでのプレイは聴いたことないけど、Frost*での彼の音は好きかも。

f:id:momodisson:20210303034921j:plain

John Mitchell

 キーボードがキラキラしているアルバムの音に比べてシンプルでヘヴィに聞こえるので、意外とFrost*のライブを楽しめてしまった。よかよか。もう「Milliontown」を聴くのも怖くないぜ。

 1stアルバムというのは大体、新鮮なパワーや希望、瞬発力による(強引な)説得力が満ちあふれていて、それはバンドが続いていくウチにどんどん薄れていく。Frost*の「Milliontown」にもそれらがあったのだと思うし、だから2006年のベストアルバムに、このアルバムをあげる人も多かった。ライブでの元気のいい演奏で、Jemのプログレ音楽への愛情は表現できていたのではないかな。しかし、「これはほんのプロローグに過ぎない」とならないところが悲しく、こういう注目バンドを即座に招聘できない日本のプログレ業界の貧弱さは大変残念だと思う。私みたいな頭の固い人が多いからかもしれないけどね。

f:id:momodisson:20210303034918j:plain

Jem Godfrey

Setlist:

  • Hyperventilate
  • Black Light Machine
  • Milliontown

 約50分の演奏が終わると、ファンたちがステージで片づけをしているJemに寄ってきて、「Hey! 今度はいつ戻るんだ!?」と熱烈なラブコールを送っていた。名前からして、冬限定で復活すればといいと思う。

 

 続きます。