【2004】ぬむるす花王巡礼旅行記 5日目 (3)

 アンコール"Stardust We Are pt3"。夜空のごとく暗い照明の中、Hasse Fが静かに歌い出す。来日公演時、私はこの時点ですでに(誇張ではなく)号泣していたが、この日は後半のインストパートでじわっと泣けてきた。ミスが多い日でも肝心なときに、確実にRoineのギターは強烈な音色を奏でる。これでツアーが終わってしまう寂しさもあったと思う。でもそれ以上に、このバンドが1999年の来日公演以降もしっかり活動を続け、スケールアップした姿で再会できた喜びも大きかった。またきっと出会える。そう信じたい。

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Hasse Fröberg

 いつも「ライブ」に拘る自分を説明できなくて困っていたのだけど、ちょっと良い喩えを思いついた。

 TVで「虹です」と言われて見る映像と、偶然虹が発生する瞬間に遭遇した時と、どちらの感動が大きい?

 

 ステージが終わった後は感傷に浸る間もなくマーチャンダイズにサインを貰いに走り回ったり、予想外の出会いがあったりで、パニック状態。最たるものがSpellboundのドラマーOla Strandbergに声をかけられたことだ。一応「来るかも」という話を聞いていたのだが、こちらは何も準備も覚悟もしていなくて、かなりあわてふためいた姿を見せてしまった。Spellboundについてはこちらのページにまとめているので、参照願いたい。

 

 こぼれ話としては

●Spellboundのメールアドレスを持っているのはOla Strandbergなのだが、他のメンバーはメールアドレスを持っていない。GöteborgでHasse Fから「Thomssonは小さい会社だけど、副社長みたいな役職(Vice-Director)に就いている」と聞いていたので「彼もメールアドレスを持ってないの?」と聞くと「何度かメールを出したんだけれど、返事が返ってくることはなかった」そうで(汗)。おーい、今はアマチュアバンドだって自前のHPで音源サンプルを試聴させる時代ですよ-(滝汗)。ある意味ローテク集団、Spellbound。でもってJJ Marshは忙しくていつも家にいないというのだから、どうやって連絡を取り合っているんだこの人達?やよいさんと「彼らの連絡手段はのろしか、体長5mの伝書鳩に違いない」と盛り上がる。*1

●Olaの兄、Alf(彼も元Spellboundのメンバー)も会場に来ていて、CDジャケにサインを貰ったり写真を撮らせてらったりしていた時、近くのテーブルに座って居た男性から「そのブックレット見せて」と言われたので、「Spellbound」*2のジャケを渡した。「これを撮影したの、僕だよ。」なんとこの男性、ジャケ写真を撮影したご本人、Claes Janssonさんだった!図々しくも名刺を渡して「Spellboundのファンページをやっている者ですが、何か使える写真があったら貸してもらえますか?」とお願いしてみた。普段の自分だったらあり得ない行動だから、この時かなり壊れていたと思う。

 

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Strandberg兄弟

 そんなこんなでバタバタしているウチにテーブル席は片づけられ、ステージの機材もあらかた取り払われた。帰宅組の中で一番遠くに住むDanielが帰ってしまう前に、急いで例の写真を見せないと!

●Danielに例のFinnさんの写真を見せると、彼自身、初めは自分だと思ったらしいが、今回のツアーで初めて彼に会う私が、髭面のDanielを撮影することは不可能。自分ではないことに気付いてみるみる表情が変わっていった。その表情が普通の驚いた顔付きじゃなくて、眉間と鼻の上にシワをよせて、Evilな感じだったのがおかしかった。

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思わぬところでネタになっているFinn Guttormsen (Farmers Market)

 あとは・・・

●3rdを出して以来音沙汰がないHasse BとHåkanのEnsemble Nimbus、活動は継続しています。不確定なことが多くて書けませんが、とにかくニューアルバムを制作中らしい。

 

 JonasとZoltanは今日Uppsalaのホテルで一泊するので、ファン達と長々と話しているが、地元に住むRoineやTomasは家族と早めに帰ってしまった。最後に「ありがとう。日本で待ってる!」とか言いたかったなぁ。いよいよHasse Fともお別れだ。「ありがとう」とも「また会おう」とも何も言えなかった。言いたいことがいっぱいあったのに。後で手紙を書けばいいのだけれど。やよいさんがHasse Fに「メールアドレス作ってよ!」と言ったのには笑っちゃったけど。いい歳して・・・完全に緊張の糸が切れて、泣いてしまった。

 

 絶対もう一度、彼の歌を生で聴くんだ。

 

 追っかけ仲間の輪に戻ると、ZoltanとJonasが昨日と違う妙な歌を手拍子付きで歌っていた。やよいさんと私に歌詞を教え込もうとするし(^^;)、おかしなコンビだよなぁ。もう時計は夜中の2時をまわり、空が明るくなってきたので、我らも解散することに。JonasとZoltanとお別れの挨拶。また会おうね、絶対ね。日本にも来てね。

 ずっと旅を一緒にしてきたGさん、運転をしてくれたTさん、毒舌紳士Mさんともバラバラと別れ、やよいさんとうすら明るいUppsalaの街を歩いていく。「Uppsalaでライブをやるときは、地元のメンバーから攻めていかないとダメだね!」なんて話をして。

 みんなと会うのがこれで最後じゃない気がする。その根拠が何なのか分からないところが困りものだけれど(苦笑)。

 

次の日へ。

*1:Lars Hollmer氏曰く、彼の自宅があるUppsalaの森にはよく分からない大きな穴がぼこっと開いているらしいのだが、それはなんでも5mの鳩の巣らしい。ちなみにウサギは1.5m。Hasse FとOlaの勤務先であるArlanda空港には、飛行機と共に伝書鳩の格納倉庫があって、伝達事項があると港内をバサバサ飛んでいくとか、バカ話がとまらなくなった。

*2:1997年にリリースされた未発表曲集。インチキ出版業者から発売されたため、今は入手困難だし、バンドは一銭もお金をもらってない。素晴らしいレベルの楽曲が収められてるので、今の時代ならサブスクとかBandcampできっちり出して欲しいんですけど、どうにかなりませんかねぇ。