【2004】ぬむるす花王巡礼旅行記 5日目 (2)

第一部:Flying Food Circus

 今日は携帯のコント付き。Göteborgよりも着メロの数が多く、より奇妙なハーモニーの中演奏が始まった。

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Flying Food Circus

 バンドとしての演奏は、昨日のNyköpingがまとまりがあって良かったと思うが、メンバー個々のノリは今日が一番良かった。Hasse Bはどんどんオリジナルのリズムパターンを崩しにかかる。Samla時代と比べてしまうのはいけないと思うのだけど、自分ははじめ、Hasse Bのこういう崩しに他のメンバーが乗っかって、原曲を留めないようなインプロをすることを予想していたので、Göteborgのあっさりした演奏は意外だった。今日もやはり原曲に近い演奏・進行だったが、Hasse Bのなし崩しドラム(<なんだそりゃ)の片鱗を聴けたのは嬉しかった。スネアのロールと間の取り方に意表を突かれっぱなしだった。曲間ではSEの準備がてらパフパフ(正式名称不明)やパッドに仕込んださまざまなパーカッションの音で観客を煽る。今日初めて気付いたが、グロッケンも持ち込んでいた。

  KeyのErikは"ボレロ"や"Heartbreaker"のフレーズを織り交ぜたり鼻で鍵盤を弾いたり、少し余裕が出てきた様子。テクニカルな面でアルバムのMats Öbergと比べるのは酷だろう。"Collect Relapses"でのギタープレイはモダンなテクニックを入れた派手なもので、やはりこの日が一番乗ってるプレイだったように思う。

 今日はシタールを中央に配置していたので、ようやくHåkanのシタールプレイを観ることができた。座り方がヨガのようだ。胴部分にピックアップを付け、いくつかエフェクターを通して鳴らしている感じ。Håkanの華麗な手さばきに、やよいさんはノックアウトされたようだ(笑)。

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Sitar King

 なんでもFlying Food Circus、今回のツアーの初日Osbyが初ステージだったそうだ。これからよりバンドとしてのノリや遊びが増えていけばいいと思う。

 余談だが、私の目の前でKaipaのジャケットデザインを担当したPer Nordinさんが一生懸命写真を撮っていた。輪郭がパタリロに似ていると思ったことは内緒だ。私が座席から離れてステージ後ろから写真を撮っている時「ここからだとRoineが良く撮れるよ」と場所を譲ってくれた優しいおじさんだが、私とあなたとは身長が違うのだ(T_T)。でもありがとー。

 休憩中、デジカメの写真チェックや電池の交換をしていると、Hasse Fが通りがかりに挨拶をしてくれました!昇天しそうです!(<バカ)

当日の写真はこちら。

 

第二部:The Flower Kings

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ミスが多い子はお仕置きです

 TFKとしては10年ぶりの地元Uppsalaでのライブ。ファンもバンドのこの日を楽しみに待っていたようで、会場は熱気に包まれていた。「Flower Kings!」とコールをする人も。

 ダイナミックな演奏に惹き込まれている時間が長かったので、誰が何をしたかというディテールはよく覚えていない。Hasse Fのアクションはいつものにも増して激しく、それに合わせて最前列の少年達が、憑かれたように大きく体を揺らしていたのは印象的だった。FFC同様、昨日の方がまとまりある演奏だった気がする。でも今日は熱いバンドの演奏によって、楽曲に宿る精霊たちが解放され、会場を包み込んだような、そんなマジカルな日だった。

 やっぱり「Meet The Flower King」は「ライブレコーディング」なのだなぁと思い知らされる。確かにあのアルバムは各パートがキレイに聞き分けられ、品質が高い音に仕上がっていた。その分離の良さによって、私にはパーカッションの音数の多さやベースのテクニカルなバッキングが少々うるさく感じられたのだが、ライブで聴くとまるで印象が違う。ベースはしっかりボトムを支えつつ曲に微妙な陰影をつけ、全然うるさくない。ドラムも、ベースも、キーボードもすべてのパートが自然で、楽曲を盛り上げるために機能していた。

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Jonas Reingold

 もうひとつ、"The Truth..."はライブで聴いて好きになった。"Garden of Dreams"(「Live in New York」)の時も思ったのだけど、このバンドはアルバム録音後も、ライブで曲の行く先を模索しているところがある。曲に真剣に向き合っているアーティストならばそれは当然の姿勢だと思う。パートを別々にレコーディングし、組み立てていくときの曲の姿と、いざライブで一斉に音を出したときの姿とのギャップがあるのかもしれない。"Garden of Dream"はアルバムよりライブヴァージョンの方が圧倒的に好きだし、曲として洗練されていると思う。"The Truth..."も"GoD"ほど曲が変わっているわけではないが、「こう聞かせたいのか」と理解するのはライブで聴いた方がダイレクトに伝わった。えーと、早い話が

このバンドはライブバンドだよ!

 ファンなら曲が変わっていく過程を観るのは絶対楽しいし、アルバムでピンとこなかったリスナーでも、ライブを聴いた方が楽しめると思う。じゃなければ各国からファンが1つのツアーに複数回のライブに参加したり、スウェーデンの地方都市に集結する事態が起こるわけがない。そのうち演出なしの、本当のライブ映像作品を出して欲しい。勿論日本でライブを観られたら最高。

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Roine Stolt

 あ、思い出した。"There is More..."で、Roineが出だしのカウントを取っていたのに、Roine一人がフライング(笑)。やっぱり「はっΣ( ̄□ ̄;)」という顔をしていた。そういうくだらないことは覚えてる。この日はRoineのミストーンが多かったのだけど、演奏のテンション自体が下がることはなかった。

 "The Hero form..."のイントロでは、RoineがE-bowを使っていたのを確認。スライドギターはHasse Fがすべて担当していた。

 

当日の写真はこちら。

 

続きます。