【2004】ぬむるす花王巡礼旅行記 3日目 (3)
会場は階段状の座席がある小ホールで、500人くらい居たのではないだろうか、ほぼSold Outだったらしい。Göteborgの街中でも思ったが、若いメタルキッズの姿がチラホラ。まもなく前座のFlying Food Circusが始まった。
第一部:Flying Food Circus
Hasse Bruniussonが携帯電話を取り出し、「○○の番号にかけろ」(<推定)というと、彼が持つ電話が鳴り出した。そのあと「みんな着メロを鳴らせ」とでも言ったのか、何人もの観客が自分のケータイを取りだし、自分の着メロを鳴らし出した。この妙な不協和音な電子音でステージが幕を開けた。
基本的にHasse Bruniussonのソロアルバム「Flying Food Circus」から"A Belated Prologue"を除いたもの。曲によっては短くなっているもの、切れ目なくアレンジされているものがあるので正確なセットリストとは言えないが一応。
- The instrument for a Good Dressage
- The Different King of Goodness
- Erfarenheit Von panopticon
- Pot on the head & Oranges under the Arm
- Collect Relapses
- Le Tambour deVille
- The Man Without Qualities
- Sleighride to Ettal
- The Nord Reel
- A Clown's Opinion
メンバーは以下:
Hasse Bruniusson: Drums, Percussion and Electronic
Bobo: Guitar
Erik Lidholm: Keyboards
Håkan Almqvist: Bass, Sitar
HåkanとHasseBはEnsemble Nimbusを一緒にやっているが、他のメンバーについてはよく知らない。ファンクラブサイトFlower Powerの告知では「ギタリストに注目!」と書かれていた。なるほど、柔らかいトーンから今時の速弾きまで難なくこなすテクニシャンのようだ。ただキーボーディストとのコンビネーションがイマイチ噛み合わない部分があったのが気になった。
Håkanのベースは着実に底辺を支えるタイプ。フレーズによって指弾きとピック弾きを使い分けていた。それにしてもあの銀色のジャケットは(汗)?そしてHasse Bの生ドラムは、キレも適度な重さもあってかっこよかったなぁ。聴こえる場面は少なかったけど、スネアのロールを絡めてリズムを崩していくやり方はお馴染みのプレイ。このバンドでは殆どドラムキットの中に座り、ドラムパッドに色々なパーカッションやホイッスルの音を仕込んでいたようだ。
途中"The Man Without Qualities"ではHåkanがシタールで長めのソロを取った。この人はインドまで行って修行してきちゃった人なので、なかなか興味深い演奏が聴けた。途中観客にヨーデルを歌わせたりもしたが、全体としては淡々とした印象だった。大体50分くらいの演奏時間。
休憩時間。ステージ上手側はビールを買う長蛇の列。下手ではマーチャンダイズコーナー。ステージ上には自分たちの機材を準備するTFKのメンバーが見える。あ~Hasse Fröbergだぁ、写真で見るよりかわいい~。などと考えながらボーッと眺めていたところ、やよいさんに促されて声をかけに行くことに。あの、えーと、その、間近で顔を見たら幽体離脱してしまいそう(<バカ)。なんとか冷静に「Nice to meet you」と握手することができた。私は彼に何度か手紙を出したことがあり、そのおかげでSpellboundのレアな写真をゲットできたのだが、まさかスウェーデンまで観に来る脳天気なファンだとは思わなかったのだろう、ビックリした様子だった。遠くから観ると顔の凹凸にしか見えなかったが、HasseFもTomasのように唇の下にひげを生やしていた。
15分ほどの休憩の後、今回のコンサートを主催するGöteborg Artrock Society(以下GAS)によるクジ引きがあることが告知された。一本いくらなのか分からなかったが、何人か観客でも参加した人が居た様子。
会場が暗転し、GASの副総裁、Danielさんの「スウェーデンのProgressive Rock Capital、UppsalaのバンドThe Flower Kings!」という紹介で演奏が始まった。
第二部:The Flower Kings
セットリストはこちら。(4日共通)
- Last Minute on Earth
- The Truth Will Set You Free
- There Is More to This World
- Train to Nowhere
- Ghost of the Red Cloud (Western調)
(上記2曲はアコースティックセット)
- The Hero from Cloud City / Church of Your Heart
- I Am the Sun
Encore
- Stardust We Are Part 3
メンバーの立ち位置はこんな感じ(他の公演もほぼ同じ)
Zoltan
Jonas ○ Daniel
○ ○
Hasse B Hasse F Roine Tomas
○ ○ ○ ○
小さいステージにパーカッションやキーボードが乱立しているので、左端の私の席からJonasとZoltanがあまり見えなかった。
"Last Minute on Earth"が始まった瞬間、もう来日の頃とは違うバンドだと感じた。勿論メンバーも替わって、パーカッションも多くて、5年も経っているのだから変わっていて当然なんだけれど。5年前はまだ「Roineのバンド」だったと思う。でも今観ているバンドはRoineをリーダーとする、すべてのメンバーがステージを作り上げていくバンドなのだ。その結束力が、パワフルな音になって私の耳を打つ。そしてHasse Fの一声。まっすぐに伸びる歌声。曲作りでは影が薄く、その上Danielという強烈な才能を持ったメンバーが新加入して、彼の存在がますます薄くなってしまうのではないかと心配したのだが、とんでもなかった。ライブにおいては彼は立派なバンドの顔だ。彼の派手なアクションがバンドのボルテージを引き上げていくように見えた。タンバリンを振る姿もかっこい---!!
ギターソロからキーボードソロへと引き継ぐ辺りのパートもテンションが高く、リズム隊だってボトムを支えるだけではない華麗な技の連続に、息つく暇もない。CDやDVDで聴くよりドラムの音に重みがあって嬉しくなった。Hasse F、Daniel、Roineのコーラスハーモニーは完璧。先程はほぼドラムに専念していたHasse Bのエキセントリックなパーカッションセットも目を惹く。最近のアルバムでは引っ込み気味だったRoineのギターも力強い音色が前面に出ていて、コレこそ私が聴きたかったRoineのギターだと心の中でガッツポーズ。
途中Tomasのキーボードの音の立ち上がりがおかしかったり、Hasse Fのアコースティックギターが鳴らなくなるハプニングがあっても、柔軟に楽器を持ち替えて対応していた。
Roineはゴキゲンなのかスウェーデン語MCをべらべらと喋り倒す。それにHasse Bがつっこみを入れる感じで、終始和やかな雰囲気。2曲目"The Truth Will Set You Free"の途中では、ゴキゲンを通り越して酔っぱらってるんじゃないかというRoineの奇行が見られた(平泳ぎの手かきをしながらステージを漂っていた。彼の目の前には赤ワインが)。Hasse Bがステージ中央に出てきて、観客に静かにするよう「シー」というジェスチャーをした。そのまま「僕が『Yes』と言ったらみんな『シー』って言って」などというと、Göteborgの観客もノリや良くて「シー」と言って返す。それにRoineもつぶやきで参加。そのままSamlaを思わせるようなへんてこなインプロが始まってしまった。Jonasは誰かの飲みかけの瓶を手にとって「ボー」っと鳴らしてるし、気が付けばHasse BとZoltanがパーカッションキットの陰で手を組んで踊ってるし・・・こ、こんなバンドでしたっけ(汗)?この時呆然と固まっていたHasse Fの姿が忘れられない。