【2019】ぬむるす瑞典狂騒詩 2日目(3)
【HFMC】
オープニングの音楽がディズニー調の物からPetula Clarkの”Downtown”に変わっていました。上手からメンバーが出てきました。Hasseは赤い帽子を被っています。「Parallel Life」のジャケットに描かれた老紳士が被っているような帽子です。すぐ脱いじゃいましたけど(笑)。
1曲目は新譜「Parallel Life」のタイトル曲、"Parallel Life"でした。幻想的なイントロからツインギターにつながり、いったん曲が落ち着いたと思ったらヘヴィーなリフが畳みかけます。この振りの大きさはHFMCだなぁ。Hasseの声は少し荒れ気味でしたが、歌い出しの難しい旋律を丁寧に歌っていました。全体的にちょっと堅いかな。"pt.3: You and Life"では、"Pages"のようにOlaがドラムセットから出てきて、アコースティックギターでHasseの歌の伴奏をしました。早くもこのパターンが出てしまうとは。ギターソロのAntonのトーンは、少し丸くて優しい感じ。時々テクニカルな小技を挟みながら、曲を盛り上げます。彼はHFMCのブレインではないけれども、バンドの大事なエンジンですね。その勢いを、Hasseが威厳のあるVo.で受け継ぎます。かっこいいー!
オリジナルはこの後"pt.6: A Choice Moment"のジャムパートがあるのですが、ここでいったん終了。短い曲紹介を挟んで、"Sleeping with the Ghost"を演奏しました。ちょっとこわごわ演奏しているような印象でした。この曲ではたびたびHasseが金属製のスライドバーを使ってギターを弾く場面があるのですが、尻ポケットからいちいち出したりしまったりしているので、ジャストなタイミングからずれてしまうことがありました。スライドバーの扱いは昔からそういう流れなので、今更変える気もないとは思いますが、この曲に限っては、バーの置き場を考えた方がいいと思いました(<細かい)。
スウェーデン語MCの後、"Everything"のメロディがギターで奏でられました。え、意外?と思ったら"Fallen Empire"に繋がりました。このバンド、よくイントロやアウトロで他の曲を利用しますね。面白いような、ちょっとぬか喜びのような(^^;)。1stの曲なので、さすがに演奏に安定感があり、ヴォーカルハーモニーもきれいに決まってます。中間部の、Hasseが穏やかに歌うパートが省かれた短いヴァージョンでした。
先日NHKの番組で、井上陽水が「一曲丸々やるより、いろんな曲を少しずつやる方がいいよね。懐石みたいで。」みたいなことを言っていたのですが、どうなんでしょう?各曲に好きなパートがあり、それがサビ以外のパートだと、省かれてしまう可能性が高いです。だから私は、一曲丸々聞きたいけどなぁ。
この日はベースのThomssonの56歳の誕生日でした。みんなで"Hurra! Hurra! Hurra! Hurra!"と誕生日を祝いました。これがスウェーデンの伝統みたいです。*1
その後に"Everything can Change"、そして間髪入れず、"Never Alone"。Kjellのチャーチオルガンの音色が広がります。Hasseの抑えた調子の歌い出しから、サビのシャウトへの転換が劇的です。プログレというより、メタルバラードに近いですね。Anton君の伸びやかなギターソロと、Hasseのロングトーンで曲を締めました。正直、この曲を初めて聴いたときは全然ピンとこなくて、「今回のアルバム、好きになれないかもしれない…」("Never Alone"が一番初めにネット上で公開された曲でした)と思いましたが、ライブで聴くとなかなかかっこよくて、ちょっとホッとしました。
聞き慣れないパーカッシヴなサンプリングが流れてきました。なんとまったく違うアレンジがなされた"All Those Faces"でした。既存曲に当てはめると"Waves"(「Powerplay」収録)に近い雰囲気です。こういうムーディーなの、嫌いじゃないわ。慣れないアレンジだからか、Hasseが一カ所歌い出すタイミングを間違えましたけど、なかなか楽しめました。そのまま"Time Waits"のシンセのイントロへ。"Parallel Life"同様、歌い出しのメロディが難しいのですが、このくらいからバンドのエンジンがかかってきたみたいです。というか、”Time Waits”がライブで演奏しやすい曲なのかな?途中、再びOlaが前に出てきて歌うシーンがあって、ちょっと不安そうに歌っていたのが気になりましたが、どうもモニターの調子が悪くて、自分の音が聞こえなかったのが原因だって(インタビューで聞いた)。なんか不安定な部分ばかり書き出していますが(^^;)、全体的にはとてもノリが良くて、「あ、この曲はとてもライブ向きなんだな」と感じました。
"Can't Stop the Clock"はいきなりギターリフからのスタート。この曲はさすがに安定してましたね。途中から”What if God is Alone”に変わりました。ワタクシ、この曲はTFKの膨大なカタログの中でも、かなり好きな曲なので固まりました… 噛み締めるように歌うHasseの歌唱は、オリジナルとは違う味わいがありました。
"Godsong"のピアノのイントロが流れてきました。これが最後かな。世界がどんどんバラバラになり、人々が孤独と猜疑の中で分断していく中、この曲の歌詞の決意は夢物語かもしれません。こんな「善き人々」が自分の持ち場で頑張っていることは希望になるよね…しんみり…と思ったら、演奏されなかった"Parallel Life"のアウトロ部分が始まりました。なるほど、面白い構成だな!ゆったりとしたバッキングの中、AntonとKjellのソロの応酬がありますが、Thomssonが弾く裏メロベースがアクセントをつけてるんですよね。これがさりげなくかっこいい。"What If"と"Never Alone"をミックスしたようなメロディをAntonが弾き、演奏は最高潮のところでエンディングを迎えました。
アンコールは"Venice CA"。サビのコーラスもツインギターのハモりもきれいに決まり、引き締まった演奏でライブを締めくくりました。HasseがJonoと観客に感謝の言葉を述べ、バンドは舞台を去りました。
細かいミスはありながらも、彼らのライブを観ている時に時々感じた、なんだか説明が難しい「しっくりこない感」があまりなくて、バンドとしてよくまとまっているのが分かりました。
Set list
- Parallel Life
- Sleeping with the Ghost
- Everyday / Fallen Empire (edit)
- Everything can Change
- Never Alone
- All Those Faces
- Time Waits
- Can't Stop the Clock / What If the God Alone
- Godsong
- Parallel Life Outro
(encore)
- Venice CA
HFMCのライブ写真はこちら。
Ingelaさんがマーチャン販売の仕事が終わるまで、私はビールを飲みながらまったりしていました。そのうちさっぱり着替えたHasseが出てきて、長身長髪のお兄さんを紹介してくれました。「Rikard Zanderだよ。Solid Blueを一緒にやってて、今はEvergreyのメンバーの。」
もちろん知ってますよ!彼は今Göteborg在住なので、このライブを見に来たようです。あぁぁ事前に知っていればSolid Blueのインナースリーブ持ってきたのにーーー!その後、積もる話があったのか、ふたりは猛烈な勢いでおしゃべりしだしたので、私はそっと離れて、機材の片付けを見ていました。Olaは自分のドラムセットを全部持ち込み、Jonoのドラマーもそれを使っていました。他にKjellのキーボード類、Antonのバカでかいエフェクターらしきもの、Thomssonのベースアンプ。これらを外にある小さなコンテナに載せて、ヴァンで引っ張ってUppsalaへ帰るみたいです。その様子をぼーっと眺めていると、ある男性が「機材と一緒に写真撮ろうよ。君はそこに横になるといいんじゃないかな」と言ってきました。実はワタクシ、同じ事を考えていたので(笑)、この誘いに乗ることにしました。
そんなこんなでIngelaさんの仕事が終わり、彼女と彼女の友人と共に、会場近くの停留所からバスでホステルに向かいました。そのバスルートの途中が工事中だったので、イレギュラーな停留所で降りて、少し歩くことになりました。その時Ingelaさんに「一緒に帰ってきて良かったと思う。夜遅いと強盗とかいるから」言われました。スウェーデンは大体治安が良いところですが、先にも言ったとおり、Göteborgの良くない事件の話を見かけることもあったので、送ってもらって正解だったようです。*2
ホステルに帰って、シャワーを浴びて、ベッドの中で少しネットを見て就寝。明日はUppsalaに移動。
今日のビール:Heineken 3.5%とチェコビール2杯
*1:スウェーデンの伝統的なバースデーソングとお祝いが説明されています。
*2:日本のバンドElectric Eel Shockの動画で、「強盗の町」と紹介されていますが(^^;)、これ以外にも海外ニュースでよろしくない話を見たので、警戒していました https://youtu.be/u4kcAd-C_eQ