【2004】ぬむるす花王巡礼旅行記 6日目 (2)

 その後、スウェーデン語の柔らかな響きの説教を聴きながら、旅行で会った人々の親切や情熱、この地に至るまでの苦労など想像し、自分の生活を振り返る。何一つ自分で成し遂げたことなどなかった。自分の無力さ、幸福に対しての無自覚がとても恥ずかしく、人の心の中にこそ神様はいるんじゃないかと思う。もし私が他人にできることがあるとすれば、何だろう?
そんな時に、隣の女性が私の方に手をさしのべて

「Good friend, Good friend」

と握手してくるではないか。これは泣くなと言う方が無理だ。(T_T)ドー

 司祭が信者に水とパンを与えている時間に、私はそっと教会を出た。

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美しいバラ窓

 途中コンビニで炭酸水と雑誌Sweden Rock Magazineを買ってホテルに戻った。やよいさんの声は少し出るようになっていたが、まだ辛そうだ。昼食がてら、やよいさんと再び外出。

 あとで聞いた話では、日本の教会ではないらしいが、ヨーロッパでは「人類みな仲良く」みたいな意味で、隣の人と握手をするというイベントが普通にあるそうだ。

 KaipaのキーボーディストHans Lundinが経営するCDショップ、Musikörat*1の前を通り(日曜日なので休みだった)、Fyris(フィーリス)川沿いのカフェで昼食を摂ったあと、Uppsala城の外観をさらっと見学。小高い丘に立っているので、Uppsalaの街が一望できる。

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Uppsala城にある櫓。ポカ~ンとしててナイスな光景

 商店街に戻り、やよいさんが帰りのバスの時間をメモしている間、私は公衆電話からLarsに連絡を取った。生涯初めて英語のみで話す電話。ドキドキしながら番号を押す・・・聞き覚えのある、スウェーデン訛りまくりの英語だー。

 ゆっくりゆっくり喋ってもらい、どうやら今日は都合が悪くて、あまり会う時間がないことが分かった。「少しだけなら」と宿泊しているホテルと部屋番号をLarsに告げ、受話器を置いた。な、なんとかなるもんだ(^^;)。

 ホテルに戻って、マッタリとした日曜のTV番組を眺めながら、Larsからのコールを待つ。やよいさんが露店で買ってきたイチゴをいただく。野菜が少ない分、果物からビタミンを摂らないと。1週間近くもスウェーデンにいると、洋梨を丸かじりしながら街を歩くことも躊躇しなくなった。

 7時近くになってようやくLarsからのコールが入った。急いで下に降りていくと、懐かしい銀髪の紳士の姿。わーい、元気でしたかー!?Larsと、弟のOlaさんと挨拶を交わし、近くのカフェでお話しすることにした。

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Nitton

 ホテルの裏側の方へ、歩いて3分くらいの「Nitton」*2というお店。店内でギターとフルートによるミニコンサート(というか、お客が勝手に演奏していただけかも)。Larsは「ここが昔のKatalinだよ」と教えてくれた。私の聞き取りなので間違っているかもしれないが、この場所だと小さくてライブ会場としてやっていけなくなったので、現在の位置に移転したようだ。店主のMs.Katalinにも挨拶。「MellotronenのStefanがよろしく言ってたよ」とか、「どうしてKrax*3のサイトを更新してくれないの?」とか、現在のLarsの活動とか色々、ものすごい密度が濃い情報をもらったと思うのだけど、頭が追いつかない。(しかし我ながらよく会話が続いたと思う。)

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Skål(乾杯)

 30分くらいの短い会合だったが、会えて嬉しかった。今度はぜひChicken House取材を敢行したいものだ。(<え?)

 夜はホテルの部屋で、買い込んだお菓子やサンドウィッチ、ビールを食しながらダラダラと過ごした。

 The Flower Kings、本当に良いライブだった。メンバーみんな仲良くて楽しそうだよね。日本でもライブが観られるようにしたいよね。

 

明日、遂に帰国。

*1:Musiköratは2008年に閉店。数年後にPeter Ericsonがオーナーとなり、場所を変えて再開したが、2016年夏にPeterが急逝し、再度の閉店となった。ちなみにPeter EricsonはRävjunkというバンドのメンバーだった。

*2:2016年に閉店、現在は違うレストランが入っている。

*3:Lars Hollmerのプライベートレーベル。彼の死後は消滅。Silenceはどうにかしろ(怒)