【2015】ぬむるす古都周遊記 4日目(2)

 下に降りて、Sigtunaで最も古い木造の建物を見に行った。ガイドブックなどでよく推薦されている「ブラウンおばさんのカフェ」だった。ブラウンおばさんの人形が入り口に飾られているのだが、とても小さい。カフェとして使われている建物は2つあり、まず入り口近くにある建家に入った。天井もとても低くて、Thomssonなんか頭をぶつけそうだ。1700年代の人達は、今よりずっと小さかったんだろう。もう一つの建家に移動し、テーブルに着いた。

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そうです、フィーカです!本物のフィーカです!

 各々好きな物を注文し、わたしはKanelbulle(シナモンロール)を注文した。Camillaさんだけコーヒーじゃなくて紅茶を頼んでいた。コーヒーに注ぐミルクを持ちながら"I forgot to buy the milk~♪"と歌うHasseにも萌えましたね。そして、とりとめない世間話をいくつか。

・HasseとCamillaさんはリーディンググラス(だめです、老眼鏡って言っちゃ)を使用しているのだが、Thomssonは頑なに掛けないそうだ。「僕は掛けないよ」と言って、iPhoneを見づらそうに見ていたけど(笑)この人、なんか美学があるよね。

・自分がスウェーデンへ来る前、フィンエアーがストをするかもしれなかったのでヒヤヒヤした、という話をすると、「今SASの一部がストをやってるよ」とHasseが言った。彼は普段Arlanda空港で働いているので、そういう話が耳に入ってくるのだろう。「ストで会社を脅してるんだ。海賊みたいだよ」。私は2004年にTFKを追いかけてスウェーデンへ来た時のことを思い出していた。その時はSASを利用し、デンマークのKastrup空港で乗り継ぎをした。スウェーデンから日本へ帰る時、Kastrupでストのために4時間足止めをくらい、日本に到着しても荷物を受け取ることができなかったのだ。数日後に荷物は郵送されてきたけど、あれが旅行の冒頭で起きたとしたら、悪夢以外のなにものでもないなと思った。

・名前の話になる。彼らの子供たちの名前は、あまりスウェーデンっぽくない。名前に流行があって、「HansとかThomasとかJonasは古い名前だよね。今そんな名前は子供にあまり付けないけど、そのうち一周して戻ってくるんじゃないかな」とHasse。それで、昔から思っていた「Roineという名前は珍しいのか?」という疑問を聞いてみた。"Reine"はたまに見かけるけど、Roine Stolt以外に"Roine"と言う名前の人を殆ど見かけたことがなかったからだ。しかし、Roineくらいの世代(1950年代?)の人間では、そう珍しい名前ではないらしいとのこと。私たちも「日本では、私たちの名前も古いんだよ。」と話したけど、じゃぁ今の子供達の名前がどんな風なのか、説明はできなかった。個人的には「頭にお花畑か、羽が生えたような名前」だと思っている(爆)。(そういえば、スウェーデンには「メタリカちゃん」が居るんだよね・・・)

 「自己紹介してよ」ってことで、普段していることを話したんだけど、いかに自分の生活が空っぽか、思い知らされるなぁ。そろそろ頭が英語を拾えなくなってきて、ボーッとしていた。大好きなミュージシャンが、ステージじゃなくて普通の日常のシーンにいるのがあまりにシュールで、目の前にいるこの人達は蝋人形じゃないだろうかと、変なことをグルグル考えていた。

 帰り道、博物館を少し覗いてみた。Sigtunaはスウェーデンで初めてコインが作られた街でもあり、発掘されたコインのレプリカをお土産として売っていた。他はヴァイキングの絵本やルーン文字をかたどったアクセサリーなど。それから街のメインストリート、Stora Gatanを歩いた。日曜日なので店は大体閉まっていた。観光地なのに(^^;)。背の低い建物が軒を連ねていて、まるでSkansenを歩いているような感じだった。街の中にHemköpやコンビニがあるんだけど、日本のように悪目立ちしていないのも良かったな。途中、スウェーデン一小さい市庁舎を眺め、Thomsson家に戻った。

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市庁舎、本当に小さかった

 今度は家の周りや庭を拝見。裏手に案外広い庭があって、家の脇にはバーベキューセットがあって、屋根付きのデッキがあって・・・なんなんだ!と、ちゃぶ台をひっくり返したくなるようなドリームハウスですよ。ところで、さっきからAliceが私をしっぽでひっぱたくんですけど。彼女は犬好き(やよいさん)と犬が苦手(私)な人間を確実に見分けてますね・・・。

 居間に戻って、私が持ってきた飛び道具その2、Spellboundの1988年のライブを見ようとしたのだけど、ThomssonのMacが私のDVDを認識してくれない。動いたかと思うとバグって変な画面が出てしまう。しばらくいじってみたけど諦めて、ThomssonがMacの中に保存していた、Spellboundのリハーサルビデオを2曲見せてもらった。何本かネット上で見たことはあったのだけど、"Winter Breeze"は初めて見た気がする。CDに収録されている曲と、アレンジと少し違っていて面白かった。まだ何か隠し持ってるんじゃないだろうか。6時を回ったので、これにて解散。Hasseが私たちを送ってくれることになった。お邪魔しました!

(追記:このページ、ブラウンおばさんのカフェや街の様子などが見られます。)

www.avidcruiser.com

 

 Hasseは日産車に乗っていた。最近車を変えたらしいので、もちろん中もきれいだ。私が「私の思うスウェーデン人の車のイメージ」を話したらウケていた。その後、なんとなく離婚とか病気とか暗い話ばかりしていたんだが(30歳後半を過ぎると、そういう話に偏りがちけどな)、明るい話題としては、HFMCとEnchant、2バンドで回るヨーロッパツアーの準備が進んでいるということ。すでにオランダのZoetermeer公演が発表されているけど、もっとありますよ!HasseはEnchantのメンバーTed Leonardと、2014年のProgressive Nation at Sea(それぞれTFKとSpock's Beardとして参加)で初めて知りあったと思うんだけど、とても波長が合うんだとか。うまくいくといいな。Hasseが運転中に、手振り身振りを交えて、時々後ろの席に振り返ってまで話すので、結構スリリングだった(^^;)。多分この人も、目をつぶってUppsalaまで運転できるのだろう。

 ホステル前に到着。ついに夢のような時間も終わりだ。やよいさんは次のヨーロッパツアーが見られるかもしれないけど、私がHFMCを見るのは数年先だ。「またお金貯めなくちゃいけないけど、また見に来るよ」というと、「僕も、次のアルバムを作るためにお金を貯めないといけないけど、また会おう」って。今回は本当に良いステージが見られた。オフタイムまで時間を割いてくれてありがとう・・・”Stay Cool, Momo"なんて言われたら、泣くに泣けないじゃないですか。

 ちょっとしんみり放心しつつ、部屋に戻った。そして話題はThomsson家のこと。なんなんだあのIdeal familjenなSwedish Familyは!!??この日も、わりと馴染みのあるミュージシャンの離婚を知り、ショックを受けていたところだった。スウェーデンは離婚率が高い。この旅行中に会った人々の中でも離婚・再婚・再離婚などを経験している人は多い。なので、Thomsson家の仲の良さが際立って見えた。そして家。日本人なら誰もが憧れそうなあの家だ。もうなんなんだと、再びちゃぶ台をひっくり返したくなった。それから、離婚しても割と友達な人々や、今の妻と昔の妻がかち合ったところで何でもない、スウェ-デンの人間関係の不思議さに盛り上がった。

 8時を回り、食料を買いにいつものHemköpへ。帰りに見たUppsala大聖堂は雨に洗われた空気の中、夕陽に照らされて輝いていた。それでいいのだ。

5月10日のPhoto(fotolifeへ移動します)

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