【2015】ぬむるす古都周遊記 4日目(1)

5月10日(日)雨、のち曇り

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ブラウンおばさん

 昨日は寝るのが遅かったが、8時頃ぼんやり起床。窓の外を見ると、シトシトと雨が降っていた。身支度をして、朝食とネットを求めてWayne's Coffeeへ。ほうれん草のキッシュみたいのを頼んだら、パンとサラダがこんもりついてきて、予想外にお腹一杯に(^^;)。そういえば、久々に柔らかいものを食べたような気がする。Facebookをチェックすると、既に昨日の写真が沢山アップされていた。かっこよかったねぇ。帰りにHemköpに寄って、昼食を買ってホテルに戻った。

 今日はSigtunaという、スウェーデンで現存する街で、一番古いと言われている場所へ行くことになっている。スウェーデンへ発つ2週間前、ベーシストのThomssonからメッセージが送られてきた。「もしよかったら、僕が住んでるSigtunaを案内するけど、どう?」だって。

 はい はい はい はい はい、行きます 行きます 行きます!!!!

 わざわざ日本から何度も観に来るバカに同情してくれたのだろうか。ありがたく申し出をお受けした。Sigtunaには鉄道駅がないので、どうやって当地へ行こうかと話し合った結果、昼過ぎにThomssonがホステルまで迎えに来てくれることになっていた。親切だ~。時間がくるまで、顔に色々塗ったくったり、先ほど買った物をつまみつつ、「その音楽、いつか通ってきた道」の話や、Rushの話(「Roll the Bones」は傑作)とか、オタクあるある話などをしていた。昼頃には雨は止んでいた。

 約束の時間の少し前にホステルを出ると、すでにThomsson氏が待っていた。ピッカピカのBMWですね。中もマジ美しいですね・・・。今までのスウェーデン旅行で、何度かスウェーデン人の車に乗せてもらうことがあったが、いつ掃除したんだ?という車に乗る方が多かったので、「きっと多くのスウェーデン人は車の掃除が嫌いなのだ」と思っていた。その固定観念が見事に崩された。Thomssonにそのことを言うと「僕はいつもきちんとしてないとイヤなんだ」という答えが(拭き掃除のジェスチャーと共に)返ってきた。前を走る車がのろのろと走っているので「あれはサンデー・ドライバーだな。いらいらするんだよ」と、冗談めいて、拳にハーっと息をかけるジェスチャーをして、私たちの笑いをとっていた。とにかく楽しい人だ。「殴る」の意思表示の仕方が、日本と同じなのも興味深かったけど。彼は職業柄(特殊運搬業、としておきましょうか)車を運転する機会が多く、UppsalaとSigtunaはバンドのリハーサルでも往復することが多いので、「目をつぶってでも運転できるよ」と言っていた。やめてください(^^;)。

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UppsalaとSigtunaの間。なんもない

 20分ほどでThomsson宅に到着。奥さんのCamillaさん、娘さんのLouiseさんと、Aliceという名前の黒い大型犬に歓迎された。外壁こそ赤くはないが、もう絵に描いたような北欧家屋、清潔感溢れる部屋、シンプルだけど遊びのあるインテリア、本物の薪を燃やす暖炉。私とやよいさんは圧倒された。こ、こんな家が本当に実在するのか?!「いつもきちんとしてないとイヤ」だから、この家がキープできるんだ。恐らく奥さんも同じような性格なんだろう。

 私は日本から用意してきたハスの花型のキャンドル(というと聞こえは良いですけど、仏壇屋で売ってるロウソクですw)と手ぬぐいをプレゼント。手ぬぐいを包んでいた包装紙を見て、Louiseさんは「ステキね」と褒めてくれたんだけど、スマンこれIKEAで買ったんだ(^^;)。息子のLinus君は、地下室でバンド仲間と練習中。彼らはMidwayというバンドを組んでいて、今年デビューアルバムを出したばかり。サイン入りのCDを頂いてしまった。うむ、若いのに80年代的ハードロックですね。将来サイン付きCDが自慢できるように頑張っておくれ。その後、家の中を案内してもらった。主寝室とか子供の部屋とか、日本だったら、お客さんに見せるなんて考えられないよね。実はこれは2度目で、以前イギリスでも同じ経験をした。そのお宅も完璧なインテリアだったので、自信があるんだろう。うちなんか魔窟すぎて、とても人に見せられない開かずの間があるよ・・・この家の子になりたい・・・。

 Camillaさんに「あなたの地元で撮った写真が見たいわ」と言われたので、デジカメに残っていた写真を見せた。自宅から歩いて数分の、桜がみごとに咲きそろうお寺の写真。桜が散る頃の写真を見せて「コレは雪じゃないんだよ、全部桜の花びらなんだ」と言うと感心していた。Stockholmでも桜並木があって、花見ができるところがあると教えてくれた。

 そのうち、遅れてHasseがやって来たので、日本から持ってきた飛び道具その1、Spellboundの1986年の写真を見せた。ウケた(よし!)。Camillaさん、「カラフルで良いわね」だって(笑)。練習が終わって上がってきたMidwayの子達にも見せてたな。Hasseが写真に写っている光景の説明をしてくれた。持参した写真は、80年代にリアルタイムでSpellboundを追っかけていた方に譲ってもらった物なのだが、そうだったのか、そんな裏話が。ご本人と連絡が取れない状態なので、書くのは控えるけど、まだGoogleマップどころか、ネットもない時代に凄いぞ、当時の日本のSpellboundファン。(写真はSpellboundファンサイトに掲載している物と大体同じです。)

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Mälaren湖とルーンストーン

 それからようやくSigtunaお散歩ツアーが始まった。Thomssonファミリー(Linus君除く)とAlice、Hasseとやよいさんと私。まずは観光センターで地図をゲット。街の主要な建物やルーン石碑の説明が書かれている。そしてMälaren湖のほとりをダラダラと歩いた。この湖はStockholmやUppsalaまで繋がっているのだそうだ。その辺にカモやスズメが無防備に羽を休めている。人が近寄っても、全然逃げようとしない。少し風が強くて乾燥しているせいか、涙が止まらなかったのにちょっと困った。時々雲間から日が差してきて、Hasseが"Here comes the Sun~♪"と口ずさんでいたのには萌えましたね。クラシックな作りのホテルや、変わった新聞受けがある家に、Thomssonが解説を加えながらダラダラ。そのうち古い石造建築が木の間から見えてきた。その場所を見ることにした。

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ちょっとだけ見えるSt.Pers kykaruin

 地図によれば、St.Pers kyrkoruin(St. Peter's Church ruin)という建物。この街ははじめヴァイキングの王によって開かれたが、のちにキリスト教化され、1100年頃に多くの教会が建てられた。3つ残っている内の1つだった。どこに何があったのか分からないくらい崩れていたが、なんでもこの場所で結婚式を挙げるカップルも居るんだとか。ロマンティックだなぁ。1000年もの間、この石達はどんな歴史を見てきたのかな。気が遠くなるような話だ。

 その後、木々の間からひょっこり頭を出している可愛い屋根の建物が気になった。ここでLouiseさんとAliceとお別れ。5人でちょっと急な坂(というか岩場)を上って、近くまでは寄れなかったのだけど、下の壁などを松の間からのぞき見ることはできた。1700年代に建てられた鐘楼で、今でも現役だという話は驚いた。朝と夕、あと誰かが結婚した時とか死んだ時などにも鐘が鳴らされるらしい*1。鐘楼の近くに、少し開けた場所があって、そこから湖と湖畔の建物を一望できた。天気が良かったらもっときれいな眺めだったんだろう。

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Klockbacken、と現地では言うらしい

 続きます。

*1: 1722年に建造された鐘楼は、2016年6月末に火事により焼失。2018年3月に再建された

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