【2006】ぬむるす英国徘徊記 5日目 (2)

 入場有料の写真展と、昆虫と甲殻類の部屋はパスし(エビ・カニはともかく虫は無理すぎ)、カフェテリアでお昼。それからもう一度ほ乳類の部屋と、無料の恐竜の部屋を眺めて、2階の鉱物の部屋へ移動。アールヌーヴォー風の装飾が施された入り口が美しい。

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素敵なエントランス

 中は生物のレリーフが施された石柱が天井を支え、明るく落ち着いた雰囲気。あまりに外光が無防備に差し込むので、展示施設的にはちょっと疑問だが・・・(^^;)。最近パワーストーンに興味があるので、ガーデン水晶に大興奮。ファイアーオパールの鮮やかさも素敵。何だか分からない石も分からないなりに鑑賞。この博物館は生き物中心の「ライフ・ギャラリー」と地球の活動に焦点を当てた「アース・ギャラリー」の二つに分かれているのだけど、とても半日では両方回りきれない。今回「アース」の方は諦めた。

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RPGのアイテムに出てきそうなファイアーオパール

 それからおみやげを買ったり、またメガテリウムの化石を眺めたりして、時間は14時になろうとしていた。ここから空港まで1時間くらいなのだけど、Londonの地下鉄が時間通り動くはずがない。その上、空港の荷物検査の窓口はテロ対策のために激混みのはずだ。大事を取って博物館を後にした。

博物館の写真はこちら。

 

 South KensingtonからPiccadilly線に乗ってHearhrow空港へ向かう。案の定30分程度止まった(汗)。

 空港に到着し、ANAのカウンターへ向かったが、日本の高校生らしき団体でごったがえしていた。もしかして修学旅行の団体?え-------!(´д`)。何日間居たか知らないが、揃いも揃って大きなスーツケース持ちやがって邪魔くさい(<醜い小市民の妬み)。カウンターに辿り着くまでどれだけ時間が掛かるんだろう・・・と途方に暮れていたら、ANAの従業員が「一般のお客様はこちらへどうぞ」と引率してくれた。助かった。搭乗券をもらって座席を確認すると、自分がネットで予約した座席とは変わったような気がする。窓側は窓側だけど・・・まぁいいか。

 出国審査も長蛇の列。係員がビニールを手に持ち「リップや化粧水などはビニール袋に入れて手に持ってください。100cc以上の物は持ち込めません!」と大声で注意していた。勿論ペットボトルの飲料水もダメで、飲みかけの炭酸水を急いで飲み干してた。出国審査のカウンターを通り過ぎて、荷物検査のエリアも人の海。うへー。私から数人前にTFKのドラマー、Marcus君そっくりのノルウェー人(ノルウェーのパスポートを持ってたので)のお兄さんが居たので、長い待ち時間だったが、少し楽しく過ごせた。眼福眼福(^^;)

 出国審査の列に並んでから1時間以上掛かって、手荷物検査のゲートを抜け、ようやく解放された。

 免税店にて家族への土産物を買った後、Iさん一押しの「Caviar House」でスモークサーモンをいただく。一緒にお薦めされたBalik Beer(スイスのビール)はアルコール度11%。長い間列に並ばされて疲れていたので、ちょっと二の足を踏んでしまう。普段なら飲むんですけどね。 イギリスに来て最後の最後で一番の贅沢。うまー。

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ビールはFuller's London Pride Ale

 搭乗ゲート近くのTVでは、ここ数日話題になっているIpswichで起こっていた連続殺人の、新しい犠牲者が立て続けに二人発見されたと報道していた。レポーターや警察の報道官が何を行っているのかは分からないけど、字幕も流れていたので、そちらで少し内容が把握できた。この手の事件にはとても興味があるので、TVをずーっと眺めているウチに、周りは高校生で溢れてきた。あの集団に自分の席が囲まれたらイヤだなぁ・・・。しかし飛行機に搭乗してみたら、エコノミーのちょっと良いクラスの座席に変更されていた。団体客が入ったから私の席は移動されていたのだ。椅子の幅や隣の人との間がちょっと広くなったのはいいけれど、座面が高すぎて逆に疲れるというトラップが。フットレストの存在を途中まで気が付かなかったのが痛かった(爆)。

 飛行機がゆっくり動き出し、ゲートから離れていく。滑走路上はとても混み合っていて、窓から離陸を待っている飛行機の列が確認できた。この時は「早く飛ばないかなぁ」と思っていたんだけど。いざ自分が乗っている飛行機の番になって、離陸のためにスピードがどんどん加速していくと「帰りたくない」気持ちもどんどん大きくなって、急に切なくなってしまった。少し涙も出た。また来るよ、きっと。やり残したことがたくさんある。それに意外な居心地の良さが、とても気に入ったからね。

 11日のパブで、P君やAちゃんがよく「Relax」という言葉を使っていた。最後はこれを考えてみたいと思う。

 私たち日本人が思う「余裕」は「お金」と思いがちで、実際お金があれば何でも買えて、人の頼むこともできるから、時間をもお金で買うことができるかもしれない。しかしお金を稼ぐためには結局、働かなければいけない。その悪循環はミヒャエル・エンデの「モモと時間どろぼう」の世界そのものだ。

 一般的な日本人男性なら大学を出て一流企業に就職し、結婚して家庭を作ることが「一人前」で「幸せ」の形とされてきたけど、人間みんな顔かたちが違うように、生活も幸せも違うはずだ。「自分探し」なんて意気込まなくたって、アナタの人生はアナタだけの人生。日本社会が既成の幸福観を支えられないほど壊れてきている今だからこそ、のんびりと自分を大切にする方法を考え、学ぶいい時期が来ているんじゃないだろうか。

 ・・・最後まで「バカの壁」に影響された旅だったようだ(笑)。元は「TFKが観たいー!」で始まったヲツ旅行。自分の好きなことを追求する旅は、意外にも自分の世界を広げる機会になっている。

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