【2006】ぬむるす英国徘徊記 5日目 (1)

12月12日(日)曇り

 8時前に起床。もうAちゃんは仕事に出かけていて、P君が身支度を整えていた。ソファーベットでボーとしていると「僕はもう出かけちゃうけど、ゆっくりしていってね」と(多分)言って、仕事へ出かけていった。ちなみに彼も彫刻など家具や美術に携わる仕事をしている。

 それから30分くらいうだうだしてから、外へ顔を洗いに行った。「私たちが出かけても出入りできるように」と、Aちゃんが合い鍵を作ってくれていたので、念のため鍵もかけた。昨日は暗くて気が付かなかったが、トイレの辺りの廊下には更に先があることが分かり、窓から裏庭があるのも確認できた。うーん、この建物はどんな構造になっているんだろ・・・?あまりウロウロしていると怪しまれるので、顔を洗ってそそくさと部屋に帰ってきた。

 が。鍵が開きません(T_T)

 建物に入る用と部屋に入る用の二つの鍵があるけど、Aちゃんが目印を付けてくれたので間違いないはず。もしかして錠が壊れた?こんな状態で誰を呼べばいいのだ???

 あ・・・れ。

 開きますた(^_^;)。

 なるほど、鍵を回した状態で手を固定し、もう片方の手でドアノブを回す、という動作が必要だったのだ。日本の感覚だとちょっと戸惑うね。ともあれホッとした。

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スタバから街並みを見る

 着替えて、駅近くのスターバックスで朝食。この時のBGMはSolid Blueの「Vol.III」。音楽的にブリティッシュベースなので、Hasseのハスキーな声も相俟ってなかなかClapham Commonの街に似合う。お店ではサーモンサンドとラテTを頼んだ、後ほど値段を計算したら1,400円位していたぞ(驚)。

 再びフラットに戻り、お礼のメッセージを書き残してから、今度は大荷物を抱えて部屋を出た。鍵もしっかり掛けた。またこの鍵を使う機会ができたらいいな。

 帰国便は19時と遅いフライトなので、空港へ行く前に自然史博物館に寄る計画だ。

www.nhm.ac.uk

 Clapham Commonでゾーン6有効のOne Dayチケットを買って地下鉄Northern線乗車。二つ先のStockwellでVictoria線に乗り換え、さらにVictoriaでCircle線に乗り換えてSouth Kensingtonで下車する。

 LondonのCircle線というと、私はCathedralの"Corpsecycle"を思い出す。ヴォーカルのLee Dorrianがこの曲について「金がない時に暇を潰すため、Circle Lineに何時間も乗って、サラリーマン達を眺めてた」と話していたのだ。ということで、BGMは「The Garden Of Unearthly Delights」に決まり。ドゥームサウンドで自然史博物館へ出発だ。

 同じ風景を眺めていても、楽しくスウィングする曲とは違う。歴史の上に歴史が石積みされて、下の方が腐敗して瘴気が立ち上ってくるような、そんな感じを受ける。特にVictoria駅の地上プラットホームから見える古いレンガ積みの壁を見た時。

 ところでLondonの地下鉄構内では、ミュージシャンが立って演奏するエリアが設けられている。ここに立てる人達はどこかで許可をもらっているようで、身体のどこかに必ず証明書を付けていた。昨日見た東洋人アヴァン系ギタリストは、アヴァンギャルドと言うよりは子供が面白がってギターとエフェクターで遊んでいる程度のノイズにしか聞こえなかった。別の駅で見たもう一人のシンガーは"Hotel California"を熱唱していて、結構チップを稼いでいた(実際上手かった)。

 VictriaかStockwellで見かけたのは、クラシックの何かの曲を演奏していたクラリネット奏者。本格的な教育を受けてると思われる端正な音で、ちょっとチップを投げてみようかと思わせる心地よさだった。South Kensingtonから自然史博物館へ通じる地下道では、サックス奏者がファンキーな曲を吹いていたが、残響が酷くて鑑賞できるような環境ではなかったな。

 臨時アイスリンクやクリスマス用の飾りやおみやげを売る露店を横目に、自然史博物館へ到着。

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どーん

 いやーすごい!!この建物だけでも見る価値がある!壁や柱飾りにあらゆる動物や植物のレリーフが施されていて、その造形も、骨格を無視したようないい加減な物が一つもない。博物館の展示物より、そちらばかりに目を奪われそうだ(^^;)。とりあえず正面エントランスから中へ。

 入り口ではセキュリティに何か聞かれるが、よく分からず、リュックのポケットに差していたボールペンを注意されたのかと思った(アメリカの美術館だと注意されそうな気がするけど)。

 「いや、それじゃない。あなたは何語がしゃべれる?スペイン語?」

 「日本語です」

 セキュリティは「Oh, Japanese...」と呟いてから、ゆっくりとしたブロークンとジェスチャーを交えて説明してくれた。あ、ナイフか!「持ってません」と言うと、通してくれた。正面の大きな吹き抜けには大型草食恐竜のディプロドクスがお出迎え。中もスゴーイ!!!天井画が見事で、しばしぽかーんと見上げてしまう。今回あまり美術/博物館周りはできなかったけど、最後にここを選んで本当に良かった。ウキウキしながらクロークへ向かった。

 この博物館では荷物を預けるのは有料で、重さによって料金が違う。私の大きい旅行カバンは£3.00位。私の荷物は女性の海外旅行としては少な目だったと思うので、普通の女性で、1週間程度の旅行の荷物ならもっと高いと思う。

 なんつーか、この詰め込み方は異様。

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ほ乳類大集合

 絶滅したマダガスカルの鳥、ドードーは大人にも子供にも大人気。みんな「ドードードードー!」と声を挙げて興奮していた。私もその一人。

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Dodo! Dodo!

 私がこの博物館で一番楽しみにしていたのは、メガテリウムという巨大ナマケモノの化石だ。体長が最大で6mもあるので、木には登らず地上を歩行して暮らしていたという・・・。荒俣宏も大絶賛していた(ような気がする)このステキな化石をぜひ見たい。  自立できないくらいデカイのだ。素晴らしい。

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メガテリウム

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その想像図

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深海生物の標本もたくさん

 特別展の「Dino Jaw」にも入ってみる。(有料:£8.00)

 入ってすぐに液晶付パネルが置かれていて、「ここにチケットを差し込んで」と書かれているので、その通りにしてみる。画面では館員(らしい)人ふたりが何かしゃべっているがよくわからない。きっと要所要所でこの人達が居て、恐竜の説明をしてくれるんだろう。先に進んだ。

 うを!いきなり肉食恐竜の首が蠢いてますよ!これが良くできてる!他にも草食恐竜(大型・小型)、魚を食べる恐竜など、さまざまな種類の頭部が動いていて、なかなか迫力がある。この特別展は恐竜の口に着目し、どんな恐竜が何を食べて暮らしていたか、というのを見せるのがテーマらしい。食べるものによって顎や歯の構造も変わるとか、人間の食べ物に換算するとこれくらい、などの説明や模型が沢山置かれていて、英語があまり読めなくてもそれなりに分かる。隅っこの方にいたEuoplocephalusの、変な顔とハンマーのようなしっぽがとてもプリティだった。

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もぐもぐ

www.britannica.com

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すやすや

 続いて、化石発掘体験コーナー。勿論本物の岩や土をほじくることはせず、岩に見立てた大型パネルの上を、手でこすったりつついたりするゲームで、子供より本気になって発掘作業に没頭。何かの爪をゲット!このデータはチケットのバーコードでどこかに管理されているようだ。出口付近のパネルにチケットを突っ込むと、今まで見てきたことがクイズで出題される。勘で選んだら正解だったようで、「続きはNHMのサイトで!」だって。何くれるんだろう?結構楽しかった。(PDFの証書をくれました)

 

 続きます。