【2006】ぬむるす英国徘徊記 4日目 (1)

12月11日(日)雨のち曇り

 7時過ぎ頃起床。一日早く日本へ帰国するやよいさんは、時間の都合で既に身支度中。ふと、今日会う約束をしていた旧友Aちゃんに、London入りして一度も連絡を取っていない事に気が付いた。着いたら連絡するって言ったのに(汗)。もう仕事場へ出かけてしまったかもしれないけれど、留守電にメッセージだけでも残そうとケータイを取り出した。怒ってるかなぁ・・・。

RRRRRRR.....RRRRRRR.....RRRRRRR.....

  運転中だろうか。繋がらないや(汗)。

RRRRRRR.....「hello?」とても眠そうな声。

 寝てたんだ?す、すまぬ。とにかく連絡がついてよかった。彼女は昼間は仕事があるので、夕方の5時くらいにナショナル・ギャラリーで会うと大まかに決めて、電話を切った。

 その前に私の旅行カバンをどこか美術館へ預けられるだろうか?という話をやよいさんとしていた。「ナショナル・ギャラリーなら荷物を預けてから外へ出かけても問題ない」とのアドバイス大英博物館か、無理ならEuston駅でお金を払って預かってもらおうと思っていたので、確実に無料で預かってくれる場所があるのはとても助かる!

 そうこうしているうちに、やよいさんが出発する時間になった。最後までお世話になりっぱなしの上、前回以上にわがままに付き合っていただきありがとうございました。

 私はそのまま部屋に残り、昨日残したSUBWAYのサンドウィッチとホテル備え付けのコーヒーで朝食。マヨネーズや野菜の水分でパンがしっとりして食べやすい(笑)。それから着替えて・・・あ、生理が来てる(汗)。全然予定日と違うんだけどな・・・昨日、一昨日の絶不調はホルモンバランスのせいにしよう、そうしよう。

 昨日Rotherhamのホテルで書いた絵はがきを出すため、Kings Cross駅前の郵便局へ向かった。BGMはGlennの「Building The Machine」。程良く重く、スウィングするリズムが、雑然としたこの街並みに合うね。

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ホテルの近くにあったテーラー
じーちゃん二人が並んで仕事にいそしんでいる姿がグー

 郵便局、ていうかコンビニ?新聞やお菓子、文房具が並べられた店舗の奥の方に郵便受付口が7つくらい並んでいた。ロープに沿って客が立って並んでいるので、私はその列の最後尾に着いた。日本でも公衆トイレでよく採用されているフォーク方式で、窓口が空くと「次のお客様は○番へ来てください」とアナウンスされる。郵便は今までホテルのフロントに任せっきりで、海外で郵便局からはがきを出すのはこれが初めて。あんまり難しいこと言われても分からないなぁと緊張したけど、はがきを見せて「日本へ」と言ったら、枚数分の切手を売ってくれた。なんとかなるもんだな。窓口の横に、切手を貼ったり梱包をするためのカウンターがあるのだけど、切手を貼るために水を含んだスポンジがない。これが普通なのかなぁ?しかたなく一番手近なものを使って貼ったわけだが、隣で同じく切手を貼ろうとしていたお姉さんが「切手用のスポンジはないの!?」と怒っていたので、普通じゃないみたい(^^;)。彼女と目があったので、一緒に苦笑いしてしまった。

 切手を貼って、郵便受けに投函してホテルに戻り、荷物(特にカメラ!)*1をチェックしてから、ホテルを出た。Kings CrossからPiccadely線に乗ってLeicester Squareへ、そこでNorthern線へ乗り換えるつもりだったのに、なぜか駅を出てしまった(^^;)。地図を見る分にはここからでもナショナル・ギャラリーへ行けるだろう・・・多分。道が整然としている場所ではないので、なかなか目的の建物が見えず、自分の進む道が合っているのかどうか確信が持てない。あ、隣のナショナル・ポートレ-ト・ギャラリーを発見。建物沿いに歩いていくとトラファルガー広場に出た。そうか、美術館と広場は向かい合ってるのね。ギャラリーに入り、クロークを見つけようとウロウロしていると、何か聞き覚えのある音が…。もしかして私のケータイが鳴ってますか?荷物を置いて出ようとしたら切れてしまった。いつもイヤフォンを耳に突っ込んでいるから、音が鳴ってもすぐに反応できないな(汗)。履歴を見てみるとAちゃんからだった。折り返し電話をかけ直すと「トラファルガー広場の近くだよねー?そこに友達が作った彫刻が展示されてるからみてねー。それだけー。」だそうで。そ、そうか(汗)。


 でも午前中は行きたい場所があるのだ。
 Muswell Hill。
 ここに何があるのかは言わない。分かる人だけが「あぁ」と思えばいい。

 

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Camden Town

 その後Camden Townで下車。雨の中をしばらく長く歩いていたので、身体が冷え切っていた。なにか暖かいものが食べたいのよ。例えば・・・・そば。

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本格的な天ぷらそば

 Londonまで来てそばを食べることもないんだけど、最近欧州旅行を満喫した、友人Iさんお墨付きの天ぷらも食べたいと思ったのだ。駅からJazz Cafeがある通りをずっと進んでいくとそのSushiWakaがあった。ちょうどランチタイムだったので、天ぷらそばが小鉢のサラダ付セットが£5.00だった。普段は単品で£7.50だよ?ラッキー!早速そばと生ビールを注文。天ぷらがサクッと美味しかった。馴染みのある味を口にして体も暖まり、気持ちが緩んだ。

www.tripadvisor.jp

 それから蚤の市で何か買い物を、と思っていたのだけど、雨のせいかあまりお店が出ていない様子(この辺はあまり下調べをしていなかったので、徘徊するエリアを間違えていたかもしれない)。テントの中の衣料品やアクセサリーはあまり欲しいものはなく、結局文房具屋でイロブンを探したりレコード屋(^^;)にも入ってみた。あまり欲しいものないなぁ、とLP棚をパタパタ見ていると、またもや電話。急いで店の外へ出る。

「早く帰って来ちゃったー」

 Aちゃんだった。え、そ、そんな簡単に早退できるの?彼女はまだ仕事場の方にいて、私は今Camden Townからナショナル・ギャラリーへ、そろそろ戻ろうと思っているところだと告げると、じゃぁお互いギャラリーについたら取りあえず電話する、ということで電話を切った。ううむ、ケイタイって便利だけど・・・予定がグダグダになるね。予定にない横やりが入ると即座に対応できない人間なので、毎日こういう対応を強いられるならば、私には向いていないアイテムだと思った瞬間だった。今回の場合、Aちゃんに会える時間が増えるから嬉しいんだけど♪

 Camden TownからNothern線一本でCharing Crossまで。どこの出口を使えばいいのか分からないので、適当に階段を上ると、広場を挟んでナショナル・ギャラリーとは反対側に出てしまった。ついでに写真を何枚か撮っていると再び電話。

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トラガルファー広場(の一部)

 Aちゃんがギャラリーに着いたらしい。急いで建物に向かい、ようやく彼女と会うことが出来た。2年ぶりだー!!まだ私がギャラリーの中を見ていないので、一緒に鑑賞することにした。アメリカの美術館に比べると、館員も鑑賞客もリラックスしてる感じ。リュックを背中にしょっていても鑑賞OKだったし。

 私の見たいのは、セインズベリー館に集められている13世紀~15世紀の絵画。あのバランスの悪さがたまらなく新鮮。美大で学び、今もアンティーク家具に携わる仕事をしているAちゃんは当然美術に詳しい*2。祭壇に飾られていた3面開きの宗教画(?)は、絵より周りの額を見ていた様子。「クリヴェッリ(Carlo Crivelli)がいいんだよねー」と「聖エミディウスを伴う受胎告知」を見ながら彼女は言う。確かに色の鮮やかさと細部の病的な書き込みは他の画家と一線を画している。「油彩って言うよりグラフィックだよね」と感想を言うと、「あのさー、『王家の紋章』の絵っぽくない?」と返事。お、おもしろいよ!

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聖エミディウスを伴う受胎告知

 セインズベリー館をまんべんなく見たところでクロークから荷物を引き上げ、ギャラリーを後にした。まだトラファルガー広場の彫刻を見ていないと言うと「見て!」と、広場の真ん中に連れて行かれる。キリスト生誕をモチーフにした彫刻らしい。Aちゃんと、彼女のボーイフレンドのP君も制作を手伝ったそうだ。

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Christmas Crib

 キリスト生誕を祝福する「東方の三賢人」の一人をアジア人にしたところが作者の独創みたい。日本に住んでいると分からない民族間の生活や感情の摩擦は、ここイギリスでは当たり前のことだろう。「人類皆兄弟」と言ってしまうと軽薄になるけど、そういう願いがあるのかな。人間も宗教も、一つの星からうまれたんだと。

 

 続きます。

*1:前年2005年のアメリカ旅行で、デジカメをなくす失態を犯してしまったのだった。本体はともかく、メモリーカードの中身を失ったのが辛かった。

*2:現在ロンドンのアンティーク修復アトリエで働いてます。ロンドン当地でご用の方はぜひ連絡を。

www.saltramconservation.com