【2010】ぬむるすウプサラ放浪記  6日目

10月30日(土)曇り

 8時前に起床。早朝に起きなかったと言うことは、相当疲れてたんだな。トイレに行って、もう少しウダウダする。ちょっと腰が痛い。

 8時半過ぎて、朝食を食べるためにレストランへ降りた。この旅で最も豪華な朝食だ。そして、スウェーデンで初めて「ヤンソンさんの誘惑」を食べた。クリームか牛乳の味なのか、独特の甘みがあるね。そしてリンゴジャム(リンゴンジャムじゃなかった)と肉団子、チーズ、トマトとキュウリ、レバーペーストにパン。ゆで卵。欲張って苦しくなるのはもはや礼儀である(笑)。

 歯を磨いて、早々にチェックアウト。すぐにバスターミナルへ向かった。12年前の記憶だと、バスの運転手から直接チケットを買えたような気がしたのだけれど、今回は「中で買ってきて」と素っ気なくされた。ならべくクレジットカードは使いたくないんだけど、自販機はカードしか使えなかったので仕方なく購入。この国はカードが無いと生活しにくいなぁと思った。そのあとで人がいる窓口を見つけたんだけれど、もういいや。

 バスに乗って、一路Arlanda空港へ。灰色の空と黄金色の樹木に囲まれたこの街も、そろそろ雪で閉ざされていくんだろう。そう思うと、今までこの国で経験してきた数々の経験が、まるで幻か何かのような気がしてきた。異世界の出来事。でも空港のネットマシンでFacebookをチェックしたら、HasseとFさんからメッセージが入っていた。幻じゃないんだ。別れは切ないけれど、旅は面白い。さようなら、またねStockholm。

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バスの窓から

 StockholmからHelsinkiまでの間、HollmerさんとMaria Kalaniemiの「Vilda Rosor」を聴いていた。どこへ行っても同じような音楽が流行る昨今だけれど、やはりこの土地から生まれて、その空気をまとった音楽もまだまだ生きていると思う。この二人のアルバムは、今回の旅のお供に最適だった。そして、HasseがSpellboundとTFKの間にやっていたバンドSolid Blue。とてもシンプルなハードロック。でも「郊外に住む青少年の生活」が滲み出る感じが、大都会でもなくど田舎でもないUppsalaの街中を歩くのにはとても良かった。

 

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Vantaa 空港に到着

 Helsinkiに到着。ゲートを出るとちょうどお土産店の正面だったので、7月に買い損ねたアンズタケのスープと、クリスマスの飲み物・グロッギを買った。その後、フィンランドのビール Lapin Kultaを飲んで一服。ここまで来ると、スウェーデンでは殆ど見かけなかった日本人の観光客が多く、もうすぐ家に帰るのだなぁとほんのり実感した。ラーメン食べたい・・・。

 パスポート審査を通って、飛行機が出るゲートへ直行。足を伸ばせる長いすを確保して、日記を書いたり、ぼーっとしたりして時間をつぶした。東京便なので、ケータイを持つ人の姿が増えてきた。今時はスマートフォンやラップトップを持っているのが当たり前。私もネットが気軽に出来たらいいなぁと思うけれど、デバイスがあればあったで、それが気になってしまうと分かっているのであえて避けている。7月に、しぶとフィンランド / 英国旅行をしたとき、iPhoneを買ったばかりのしぶがTwitterに夢中になって、コチラはちょっと寂しい思いをしたのだ。目の前の人より、ネットの向こうの人達が大切ですか、みたいな。だから、ますますモバイルを持ちたいと思わなくなった。今回の旅行は手のひらサイズのメモ帳を持って行って、コーヒーを飲んでいるときや、教会に座っているときなど、ちょこちょこと記録を残すようにした。この形が自分に合っている気がする。

 FinnAir東京行きに時間通りに搭乗。「離陸するまで、エンターテイメントサービスは支給されません。画面に触らないで下さい」という放送があって笑ってしまった。7月にFinnAirに乗ったとき、画面がバグりまくっていたから。どこかに不具合があるんだろうなぁ。フライト中はやはり数独をやりまくった。疲れて集中力を欠いているせいか、行きより正答率が低くなっていた。7月に乗ったときは、窓の外はずっと明るい「白夜」状態だったのだけど、今日のフライトでは、ずっと暗かった。地球スケールで、季節の移り変わりを感じた。

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バグったFinnAirのモニター(撮影は7月22日)

10月30の写真(fotolifeへ移動します)

 

 成田に到着したのは翌日31日の朝の9時前。空港内のマッサージに行くのをすっっっっっっっごく楽しみにしていたのだけれど、まだ開店していなかった(T_T)。柏駅行きのバスも、成田行きの電車も、一時間以上待たなければいけないので、とりあえず地階へ降りてうどんを食べてみた。温かい食べ物に身体がほぐれ、スウェーデンでは縁の無かった味との再会に、やっぱ自分は日本人だわーと味覚から覚醒した。

 

 日常は淡々と流れていく。流されていくのは簡単だ。ダムを造って流れをせき止めるとか、流れに逆らって同じ場所に立ち続けるなど、私にはできない。でも流されるのを嘆くだけじゃなくて、流れの中に美しい魚を見つけたり、ちょっと川岸に寄って、小さな花や鳥のさえずりを楽しむことならできるだろう。些細なことでも自分の中では大きな宝物。最終的に今回の旅は、その宝物、大好きな音楽と人々を再確認しに行った旅になったような気がする。

 

 さて、これからどうしよう。
Neil Peart的に言えば、"Now, what?"

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やり残したことNo.1、カクネス塔