【2010】ぬむるすウプサラ放浪記  3日目(2)

 3時を回ったので、KatalinにHFMCのメンバーが到着する頃かしら?と思い、荷物を持って出発。Katalinの横を通るだけでドキドキする。中を覗いてみると、多くの楽器や機材のケースが床に置かれていたので、誰か居るんだなと思いつつ、会場を通り過ぎて駅まで行ってしまう(爆)。Hasseへのお土産に日本酒を買ったので、事前に渡したいのだけれど(重いし)、なかなか一人では突撃することができない。お腹に何か入れたら緊張が解けるかと思って、水とバナナを売店で買って、バナナをその場で食べた。その後も、駅と会場を何往復もする怪しい人と化していた。そんな事をしているウチに、ドラムのチューニングの音や、Hasseのウォーミングアップしている声が聞こえてきたので、窓からこっそり覗いてしまう。更に怪しい。わー、本物だー。本当に今日観られるんだー。エッヘッヘッヘ…。

 このままだと本当に怪しいばかりかイタイ人になってしまうので、観念してKatalinに入った。寒かったし。先ほどバナナを食べたので、あまりお腹は空いていない。カウンターでCarlsbergだけ注文。久々にまともなビールだ。開演までの間、薄暗い外光とキャンドルの火を頼りに、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」を読んだ。これを持ってきたのは、単に「薄くて軽い」からだったけど、日本の美についての考察を、外国で読むというのはなかなか刺激的だった。しかし陰翳に潜むことと読書を楽しむことを両立するのは難しいな。隣から今日演奏する曲が聞こえてくる。"Above"のイントロだ!うわーやるんだやるんだ!!も、もう、すでにお腹いっぱい胸一杯。リハーサルなので、最後までやらないけど。一瞬Black Sabbathの"Snowblind"を演奏していたのが聞こえたのは面白かった。

 

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今回も連れてきたプー。君はスウェーデン2回目だね

 ビールを飲み尽くしてしまったので、クロークにコート預けて、もっと明るい席に移動して、食べ物も注文しようかとウロウロしていたときに「Mo-mo!!」と声を掛けられた。声の方に目をやると、ベリーショートの女性とHasseがこっちに向かってきた。あう、ああう、ちょっと待って、心の準備ができてないーーーーー(泣)!!

 女性の方は、TFK友達からたびたび話を聞いていたオランダ人のFさんだった。私が今日Katalinに来ることを、友人経由で知っていたのだ。わたしとFさんは直接面識がなかったけど、日本人は目立つんだな。彼女は旦那さんとスウェーデン人の友人と一緒で、「会場の中のテーブルを予約したので、ライブ前に中に入れるけど、あなたも行かない?」と誘って下さった。あぁ、そういうことだったのか。6年前の疑問の一部が氷解した*1。良い場所を取りたいし、椅子にも座れるだろうから、一緒に中に入らせてもらうことにした。本当、助かります!例によってHasseと面と向かうと、私はほぼ白痴状態になるので、あうあうしながら握手して、「Nice to see you again.」というのが精一杯だった。そしてやっと、プレゼントを渡すことができた。彼は「中身は何だろう?」という感じで箱を振っていたので、「チョコレートじゃないよ」とは言っておいた(笑)*2

 中に入って、Fさん夫妻はステーキを注文。わー健啖家だなぁ。わたしはBrooklyn Lagerとアンズタケのスープを頼んだ。でも塩味が強すぎて、全部食べられなかった。そういえば、6年前ここでパエリアを食べたときも、塩味きつかったよなぁ、と後になって思い出した。周りの皆さんも英語ネイティヴじゃないので、何とか話を拾うことはできるのだけれど、そもそも趣味が合わないというか世代が違うというか(汗)、すいません、私多分プログレファンじゃないです(汗)、すいませんすいません、と恐縮しながら座っていた。あと、あれだ。日本人あるあるだと思うんだけれど、"Yes"と"No"を逆に言ってしまうのだ。日本人は、相手が言っていることが正しいと「はい」というけれど、英語では自分が主軸で「はい/いいえ」を答える。ハタと気がついて、「あぁすいません、いつも混乱するのです。私の言う「はい」は、あなたが言うことが正しいという意味なのです(直訳調)」と謝ると、Fさんは「いいのよ、知ってるわよ。日本人はそうなのよね!」と笑い飛ばしてくれたので、ちょっと気が楽になった。

 トイレに立ったついでに、Tシャツを見てみた。長袖と半袖の二種類あって、カーキと黒の二色(計4種類)。表は歯車のようなシンボルにバンド名。バックはメンバーショットのシルエット。まぁまぁ許容範囲内のデザイン。配色はわりと好き。Shibuへのお土産に買っていこうと思い、「黒の長袖、Lサイズを一枚ください。」というと、売り子をしていたFröberg家の兄妹が「あなたにはLは大きいと思うんだけど・・・」と心配そうに言ってきた。「私のじゃないよ」というと、ちょっとはにかんだように笑って、該当の服を取り出してくれた。あぁかわいいなぁ。自分用にはカーキの半袖Sサイズと、2枚お買い上げ。日本国内で持ってる人はしぶ家だけだと思うよ!

 8時を少し過ぎて、テーマパークで流れるような可愛い音楽が流れてきた。これがオープニングのようだ。私とFさんはステージの最前列に行って、カメラの用意(笑)。Hasseの真ん前にインド系っぽい男性と、Gotebörgで見たどなたかに似た男性。あまりスタンディング・エリアに人がいないんだけれど、みんなテーブル席でマッタリ見るのかな?ちょっと寂しいなぁ。そのうちメンバーがぞろぞろ入ってきた。左からフロント列はAnton Lindsjö (g.)、Hasse Fröberg (vo,g)、Thomsson (b.)。後列はKjell Haraldsson (keys.)、Ola Strandberg (ds.)。私はAntonとHasseの間くらいの位置に立った。いつもHasseを右側(彼の左側)から見ていたので、違う方向から見ようと思った。

 

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Are you ready?

次からライブレビューです。

*1:文中に出てくる「6年前」というのは、こちらのページを参照

*2:『彼は「中身は何だろう?」という感じで箱を振っていたので、「チョコレートじゃないよ」とは言っておいた(笑)。』
TFKのメンバーは某国のチョコレートの大ファンなのだけど、Hasseもその一人で、「宗教的体験」とまでブログに書いている。今回は別のライブ会場でありつけたようだ。