【2006】ぬむるす英国徘徊記 2日目 (1)

12月9日(土)だいたい曇り

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おはようございます

 8時前くらいに起床。やよいさんはシャワーを使うため、既に起きていた(私は寝る前に使うのだ)。昨日チェックインの際にもらった朝食クーポンを持って、1階の食堂へ行く。食堂の手前には歓談室兼喫煙室があり、ここの煙たさはちょっと困った。行列に並んで、席に案内されてからパンとシリアルを取りに行った。追加で£4払えば美味しそうなフライドエッグやソーセージの付いた英国式朝食が戴けるようだったけど、ここは我慢なのだ。これから何にお金を使うか分からないし。

 今日はドイツからCanterbury経由でイギリス入りしたヲツ仲間Jさんと、Euston駅で11時半前に待ち合わせている。ここから急行列車に乗って北上し、Leighton Buzzardという街へ行く。そこにはヲツ仲間のPさんのご自宅があり、お昼をごちそうしてくれる上に会場まで車で連れて行ってくれるという。ありがたい( ̄人 ̄)。時間に余裕を持って動きたいとのことで、10時過ぎにはホテル脇のバス停からEuston駅へ移動した。バス賃は車内で払うのではなく、バス停に備え付けられた販売機でチケットを買う。まだイギリスの小銭になれていないので、買うのにちょっと苦労した。

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Euston駅

 Euston駅の雰囲気はちょっとした空港のようだ。まず急行のチケットを自販機で買い(クレジットカードが使えるので便利)、WH Smithで私は炭酸水と絵はがきを、やよいさんは折り畳み傘を買った。ここには文房具店Paperchaseの小さな店舗があって、海外へ行くとついイロブンを探してしまう癖が付いたワタクシは、思わず吸い込まれてしまうのであった。でもこのお店は普通にセンスのいい文具店だったので、変なおもちゃはあったけど、9連シュレッダーばさみみたいなカッとんだ文具はなかった。

 11時もとうに過ぎたので、列車が出るホームへ移動した。改札の近くにあった「滑るので注意!」看板の写真を撮るために、フラッシュを使用したら大変怒られた。対テロ警備のためなんでしょうね、すいません(´;ω;`)。

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本物のSlippery When Wet

 列車の出発時間ぎりぎりに駆け込んできたJさん(彼が悪いのではなく、イギリスの交通事情が良くない)と再会の握手。2年前のスウェーデンではお世話になりました。列車の旅では主に、Jさんの息子さんの話などで盛り上がった。ロックを聴き始めたらしいけど、プログレまで行き着くかな(^^;)?ところで、列車の連結部分にある扉の枠には木が使われていた。けして古い列車ではなかったので、ちょっと新鮮だった。

 1時間ほどでLeighton Buzzardへ到着。いかにも地方の小さな駅という風情。ホームから出る階段を下ると、既にPさんが待っていた。今日・明日とお世話になりますm(__)m。

 車に乗り込み、煉瓦造りの家々が並ぶ通りを抜けてPさん宅へ到着。海外で個人の家にお邪魔するのは初めてなので、実はワクワクしていた。玄関の扉をくぐったところで、まずマットで靴の泥を落として、それから中に入って靴を脱いだ!(実はどっちでもよかったらしい)そして奥さんのBさんにも挨拶。リビングと、奥に続くダイニングはとても清潔で、趣味のいい絵や置物、家族の写真が飾られていた。暖かい家族像が容易に想像できる、インテリア雑誌に載せても恥ずかしくない家ですよ!台所も可愛くて、ワタクシ、この家の子供になりたいと思った(^^;)。

 Pさんは最近緑茶にハマっているらしい。普通の"Green Tea"はともかく、桃やリンゴの香りが付いた緑茶ってどうよ?紅茶のフレーバーティーと同じノリだと思うんだけど、緑茶本来の甘みや香りをシンプルに突き詰めてきた日本人にとっては、とても不思議なモノに思えた。このときはホワイトティー(中国の白茶かもしれない)を入れてもらった。

 ここでも「家族は自分好きな音楽に興味を持ってくれない」みたいな話で盛り上がっていた、ような気がする。Pさんの奥さんはTFKにはまったく興味がない様子で、TVでラグビーを観ている方が楽しいらしい。どこでも同じ悩みを持ったお父さんがいるのだな(笑)。私は英会話は壊滅的にダメなので、この時はインテリアや暖炉(古い民家の梁を再利用したような飾り梁が素敵)などをしげしげと眺めたり、熊のぬいぐるみをいじって遊んだりしていた。するとPさん「建物に興味があるの?明日うちの中を案内してあげるよ」と申し出てくれて…気を使わせて申し訳ないですうぅぅ。

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Pさん宅周辺はこんな感じ

 これから会うGさんの伝説を肴に、パンやソーセージなどの昼食をいただいた後(おいしかった!)Sheffieldまで北上して、「伝説の男」Gさん*1をピックアップしてから、今日のコンサート会場Rotherhamへ戻る、という長いドライブへ出た。

 この間、先日来日公演を行ったPorcupine Treeの話で少し盛り上がる(車の中の4人の、数少ない共通の話題だった)。あと、やよいさんとTFKのファンジンやイベント、さらには日本のプログレ界隈の印象を話した。ファンジンについては作るのに精一杯で、今まであまり話したことがなかったけど、意外と同じようなことを考えていたんだな。TFKから沢山のバンドに繋がるネットワークを無視するのって、本当にもったいない。プログレファンの皆さんが80年代にカンタベリーツリーを眺めて「この時代はすげーな」と感じたことがあると思うが、今だって多国籍で、同じように活発な音楽的融合・分裂が起こっている。全部追いかけるのは不可能だけど、耳だけではなく身体でも体験したい。

 Pさん宅を出た時はまだ空は明るくて、私は広い牧場の横を通るたびに「ひつじー!うまー!」と、車窓から見える家畜に対して妙な興奮状態に陥っていたが、Rotherhamを過ぎる頃にはすっかり暗くなってしまった。車のランプと遠くに民家の明かりがぼんやりと浮かぶ。2時間ほどして、Sheffield駅に到着した。入ってすぐにGさんと出会えたので、そのまますぐに車へ戻り、Rotherham方面へ引き返し、夕飯を食べることにした。

 またしばらくドライブをしていると、飽満感というか、ちょっと胃液が上がってくる感じ。Pさん宅でお茶を飲み過ぎたかなぁ・・・。

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夜のRotherham

 Rotherhamの中心とおぼしき広場のパーキングに車を止めた。近くに小さな市民ホールと教会がある。坂を下っていったところのパブに入った。あまり食欲もなかったので、大事を取ってビールをハーフパイントで頼むと、「どうしたの、飲まないの?」やよいさんに心配された(^^;)。「この辺は坂とかカーブが多いから、車酔いしたかも」と言われたので、「そうかも」と答えた。くそう、イギリスまで来てビターの1パイントも飲めないなんて!

 食事をしながら、男性陣は録音についてのオタクな会話を繰り広げている模様。私はだんだん緊張してきて、頼んだ食事も喉に通らない。あまり食べ慣れないグレイビーソースが、今の自分には重かったみたいだ。それと、アメリカほどではないけど食事の量が多いかも。
 下の写真はPさんのお皿。ソーセージ、豆、ハム、フライドエッグ(目玉焼き)にフライドポテト。ポテトを抜いたら「イギリスの典型的な朝食」とだそうです。

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典型的パブ飯

 会場時間が近づいてきたので車に戻った。広場のクリスマスツリーは下の何段かしか電飾がついていなくて、「こびとが飾り付けをしたに違いない!」と皆さんで茶々を入れていた(私は理解できず)。夜の暗さで何度か入る道を間違えて、バックやカーブで自分の身体に掛かる重力と戦ってるうちに、ようやく会場に到着した。

 会場のOakwood Centreは学校か公共の体育館、と言った感じの建物。受付でチケットを渡し、会場に入るとでかいオジサンがたくさんと、ゴスっぽいお姉さんが少々。子連れの家族もそこそこいた。みんなビールを飲んで和んでいるか、熱心にCD漁りをしていた。とりあえず私とやよいさんは最前列を確保して、交代でCD売り場を覗いたり、知り合いに挨拶をしに行ったりして過ごした。近くに車いすの人がいたのだけど、スタンディングの会場に、こういう状態の人が当たり前にライブを観に来ているというのは、とても良いと思った。

 今日はClassic Rock Societyというイギリスのプログレ愛好団体のイベント「The BOTY Awards Night」で、なにか表彰式みたいな事が行われるらしい。当日まで知らなかったのだけど、そのプレゼンターはEL&PのCarl Parmerのようだ。CRSのカウンターに「Carlに何か質問があったら書いて!」といった紙が置かれていた。

 

 続きます。

*1:飛行機が嫌いで、何日もかけて列車や船で移動してライブを見に来たり、マイペースに爆睡したり、「うん、彼はしょうがない」と思わせるような人でした。2004年のスウェーデンツアーで一緒に回りました。お元気かしら。