【2012】ぬむるす瑞典縦断記 2日目(2)live review

 

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会場に貼られていたナイスなデザインのポスター

 1曲目は、新譜「Powerplay」のオープニングと同じ"My River to Cross"だった。自分は別のことに気を取られていたのと、ごついカメラを持ったスタッフが何人か前をウロウロしていたので、あまりステージに集中できてなかった。しかし、この曲をネットラジオで初めて聞いた時「これをライブで歌いきれるのか?」と疑問に思ったことを思い出した。彼は見事に歌いきった。ちょっと感動。

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ハードロックなフロントふたり

CDでしっくり来なかった音質も、ライブではちゃんとベースもギターもヘヴィに聞こえるので安心して聴けた。特にドラムは、ライブで聴いた方が手数が多くてカッコイイ。キーボードは前回同様ちょっと聞こえにくかったが、自分の立ち位置のせいだと思う。特筆すべきは、ヴォーカルハーモニーが前回のライブより格段にレベルアップしていた!新作はヴォーカルハーモニーが多用されていて、重要な要素になっているので、これは嬉しかった。すごい強引なつなぎを挟んで、割とあっさりとした"I Wouldn't Change a Thing"。ツインリードのパートでは、フロント3人が並んで弾く場面も。

 それからMCを挟んで、新曲"The Final Hour"。新作の中でも一番複雑で妙な構造を持った曲だ。これも良かったなぁ。ライブで聴くと、よりドラマティックに聞こえるし、Kjellの即興プレイが光っていた。"So beautiful, the river runs"の一節の後のキーボードソロから、流れるようなピアノのアルペジオ、その上に重なるギターのメロディと、幽玄な感じから、一転ハードなツインギターとベースが絡むヘヴィなパート、そして"There must be more to this..."というヴォーカル、と畳みかける展開がとてもスリリング。そして最後の"to SEE!"の力強いシャウトで拍手喝采

 再びMCを挟んでから、"Song for July"。真ん中の"When you're gone"から"When I'm dreaming 'bout thoes nights"までの二節を抜いて、ベースソロへ飛ぶ短縮ヴァージョン。アメリカでのライブ映像をYouTubeで観て、Hasse、そろそろ高音がきつくなってきたんだろうかと思ったけれど、エモーショナルな歌声には心動かされる。ホームタウンなので、ライブが全体的にリラックスした感じなのがちょっと気になった。前回の、少し緊張感があって、丁寧に歌っている方が引き込まれたかなぁ…。ThomssonやHasseは元々アグレッシヴにステージ上を動くし、Antonも前回より動くようになっていた。これはロックバンドとしては良いと思うし、プログレバンドとしては異色で面白い。が、ステージ上でやることも多くなるし、歌や演奏が疎かになってしまう危険もあるし…。

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もっと注目されて欲しいAnton君

 "The Chosen Ones"の美しいイントロに導かれて、Hasseの繊細なヴォーカルが入ってくる。静と動のメリハリ効いたいい曲だと思うし、ソロパートも聴きどころが多かった。歌の後ろでちょこっとAntonが弾く合いの手みたいのがいちいちカッコイイ。曲が一旦落ち着くところ(CDでいうと4:05あたり)で、突然"Magic Pie"を挿入するという力業を発揮(笑)。そしてAntonの情感がたっぷりのソロ、それから"The universe is my kind of place"とHasseが歌ったのをきっかけに再び"The Chosen Ones"に戻った。この繋ぎ方は結構面白かった。ギターとキーボード(新作ではあまり前面に出なかったジャジーなプレイが炸裂)のソロの応酬はこのライブのハイライトだったと思う。

 AORな"Venice CA"では、ちょっと元気がないように聞こえたHasseの声に艶が出てきて、ハードかつ清々しいヴォーカルが楽しめた。Antonのテクニカルなソロもきれいに決まっていた。こういう曲にはまった、簡潔なソロって大好き。

 ここでメンバー紹介。スウェーデン語なので分からないけど、ThomssonとOlaに関しては「古くからの友人」みたいなことを言っていたと思う。Kjellが出てくると、妙に盛り上がるんだよね(^^;)。地元の友人が多く来ているのだろう。Hasseの紹介はThomssonがしていた。

 "Piece of the Sky"は「FuturePast」からの曲なので、多少余裕があるのか、リズム隊が細かいところで、スタジオ盤にはないオカズや遊びをふんだんに入れていた。こういうのをスタジオ盤に録音できたらいいのになぁ。Antonもキレのある速いフレーズとロングトーンを巧みに使い分けたソロで演奏を盛り上げ、Kjellがシンセソロでアグレッシヴに煽る。そしてHasseが、普段あまり聴かせない低音域で厳かに入ってきた。そして"Before our eyes"と歌い上げる。ドラマティックなアレンジ。このバンドを表現するのに打ってつけの曲だと思った。

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アレンジャーとしても縁の下の力持ちのKjell

 "The World Keeps Turning"が個人的ハイライトだった。小気味よいテンポにHasseの力強いヴォーカルが映える。CDではあまり目立たなかったオルガンの音が前面に出てきているのも良かった。なんか、色々書くより簡潔に「カッコイイ」でいいような(笑)。

 "Fallen Empire"で本編を締めくくった。ところどころ添えられるヴォーカルハーモニーがよく決まっていて、曲にアクセントをつけていた。このバンド、基本的にみんなヴォーカルマイクを持っているが、一番ハーモニーをつけているのはAntonで、ThomssonとKjellがその次。Olaもたまに歌っていたが、実は一番高いパートを歌うのはOlaである。バンドのトレードマークのひとつと言ってもいいツインリードも決まって、大団円。

 勿論アンコール。だって、あの曲この曲やってないでしょう!?

 続きます。