【2012】沼津ひとり旅 1日目(1)

 

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ここをめざします

 当日、東京駅へ向かう途中、京浜東北線で人身事故が起きたというアナウンス。その時常磐線に乗っていた私は、北千住で下車し、二重橋前まで千代田線で行き、徒歩で東京駅まで行きました(大手町から歩くより早い)。山手線は比較的早く復旧していたみたいだけど、あの状況では地下鉄を使うことしか思いつきませんでした。しかしそのせいで、東海道線快速アクティに乗り損ねてしまいました。次の快速まで1時間近く待たなければいけないけど、普通列車と快速の到着の時間差は30分くらい。結局熱海まで各駅で行こうと決めました。ボケーと電車に乗って、電光板を眺めていると、埼京線や中央線でも事故や点検で列車が遅れているというお知らせ。今日はそういう日なんだろうか。約3時間、ボケーとしている内に熱海に到着。ここで一度乗り換え。同じ東海道線なんだけど、管轄が違うから?20分ほどで沼津に到着。

 もう正午近かったけど、とにかく水族館がある沼津港まで行くことにしました。バスがしばらくなさそうなので、駅からまっすぐ伸びる道を歩いて行きました。駅近くの商店街と住宅街が混ざり合ったような地域では、古い蔵をよく見かけました。自動車の追突事故も見かけました・・・・今日はそういう日なんだな。

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新しい建物の中にひょっこり古い街の名残が

 大体30分歩くと、だんだん潮の香りが強くなってきました。やっと沼津港深海水族館の看板が見えたので、その通りに行くと、お土産屋や食事処が集まった小さなモールのような場所の一角に、ひっそり建っていました。予想外に小さくてびっくり。入場料1,600円は正直高いなぁと思いつつ、ハナイカのためならまぁいいわ。

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割とちんまりしてた

 入場早々、ダイオウグソクムシが無愛想に出迎えてくれます。この不条理にでかいダンゴムシ、まったくやる気がありません。そのあと、小さな水槽で浅瀬の生き物と深海の生き物を比較する展示とか、沖縄の珊瑚を繁殖している水槽とか、思ったより深海魚だらけではないことに気がつきました。この前日、たまたまTVで水族館の深海魚飼育の裏側を見たのですが、生物の捕獲(水族館の人達が自らやります)も大変だし、まず生かしておくこと自体が大変だというのを知りました。深海と地上の水槽ではあまりに環境が違うからです。ですが、館内の音楽とか水槽のレイアウトとか、お客さんに何とか楽しんでもらおうという意気込みは伝わりました。それにしてもテヅルモヅルはふざけたヒトデだなぁ。

(テヅルモヅルの写真がなかったので、東京大学のページを貼っておきます)

 そして、1階の奥に、大好きなハナイカ*1の水槽を見つけて、すべてがどうでもよくなりました。

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ハナイカの説明

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天使

 このフォルム、色、水槽の奥に向かって、無意味に威嚇するかわいらしさ。もう天使に違いないです。本来のメインである深海生物の水槽も楽しみましたが、ここのところの目玉になっていたメンダコがお亡くなりになっていたのはあまりに残念。他に、VoivodのAWAY画伯がデザインしたようなウミグモとか、合体・変形でもしそうなメカニックな魚の標本など、深海魚の奥深さを見せつけてくれました。ヒカリキンメダイの美しい光が心を悠久の彼方へ誘ってくれます。ここは天国に違いありません。

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ヤマトトックリウミグモ(多分)

 2階へ行くと、シーラカンスのじいさん「シーラ爺」が話しかけてくれます。ここには彼の仲間がいっぱいいるそうです。そう、この水族館の正式名称は「沼津港深海水族館 シーラカンスミュージアム」。メインアクトはシーラカンスなのです。

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どーーーん

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身体は大きいが脳みそはとても小さい

 この施設には全部で5体の剥製・冷凍標本が展示されていますが、シーラカンス絶滅危惧種に指定されていて、生体はもちろん、鱗一枚でさえ取引が制限されています。どうしてここに5体も集まっているのかは説明がありませんでしたが、かなり貴重なことは確かです。シーラ爺の後は、シーラカンスがよく見つかるコモロ諸島(インド洋、マダガスカル島の近くにある島々)に住む魚や、はじめてシーラカンスを見つけた頃に使われたカヌーの展示など、遊園地のアトラクションみたいな雰囲気があります。奥に行くとシーラカンスの冷凍標本と普通の標本、CTで標本を採った写真や各部位の展示など、シーラカンスファンには垂涎に違いない展示目白押しです。あ、シーラカンスも深海魚です。やつの脳みそはかなり小さいです。卵を産むのではなく、身体の中で卵をかえしてから子供を産むことを初めて知りました。

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プレコかわいい

 生き物実験室というコ-ナーでは、グルニオンという不思議な魚のふ化実験をやりました。(詳しくはここ読んで)グルニオンの卵が産み付けられた砂に、海水を混ぜて攪拌、しばらくすると小さな卵から稚魚が次々とふ化しました。大人も子供もその様子に釘付けです。この子達は水族館で飼育されるそうです。

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タワシではない

 この水族館ではなぜかハリモグラも飼育されてるんだけど、「進化の過程で、不思議な生態を残したまま生き続けている」というくくりでハリモグラだそうです。奴らはほ乳類ですが、卵を産みます。私が観ている間はずっと寝ていました。

 

続きます。

*1:この旅行記ではハナイカがメインに書かれていますが、多分常設展示の生物ではないと思います。